2021/08/30

電子帳簿保存法について

電子帳簿保存法の改正

令和3年度の税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)の改正が行われました。(令和4年1月1日施行)
電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の区分がありますが、今回は「電子帳簿等保存」の改正事項をお伝えします。

1.これまで、電子帳簿等保存を行う場合に必要であった、税務署長の事前承認は廃止されました。(令和4年1月1日以後に備付けを開始する国税関係帳簿について適用)

2.優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が整備されました。
※本措置を受ける旨の税務署長への届出が必要です。優良な電子帳簿に記録された事項に関し、申告漏れがあった場合には、その申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減されます。(令和4年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用)

3.優良な電子帳簿の要件を満たしていなくても、最低限の要件を満たす電子帳簿については、電磁的記録による保存等が可能になりました。(令和4年1月1日以後に備付けを開始する国税関係帳簿について適用)

1と3は、「令和4年1月1日以後に備付けを開始する国税関係書類について適用」ですので、令和4年1月1日から開始する事業年度から適用ですが、2については「令和4年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用」ですので、令和3年11月期決算法人から適用可能となります。
令和4年1月1日より前に開始する事業年度については、備付けを開始する日の3月前の税務署長への承認申請書の提出が必要なため、新たに電子帳簿等の保存を検討される方は、令和4年1月1日以降の開始事業年度からが適用期間となります。
なお、軽減措置を受けるための届出の提出期限は、規定の適用を受ける国税の法定申告期限となります。 

優良な電子帳簿の要件とは

優良な電子帳簿の保存要件の概要は以下の通りです。

1.記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること。

2.通常の業務処理期間(最長2ヶ月まで)を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること。

3.電子化した帳簿の記録事項と、その帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること。

4.システム関係書類等(操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること。

5.保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。

6.取引年月日、取引金額、取引先により検索できること。

7.税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしていること。

※最低限の要件を満たす電子帳簿は、4・5・7が保存要件となります。

優良な電子帳簿に該当するか

1.市販の会計ソフトは該当するのか。

公益社団法人日本文書マネジメント協会「JIIMA」において電子帳簿保存法における優良な電子帳簿の要件適合性(現時点では改正前の要件)の確認・認証が行われています。国税庁のホームページでも「JIIMA認証情報リスト」で確認ができ、一般的に利用されている会計ソフトの多くが認証されています。

2.電子計算機処理にあたり、会計事務所や記帳代行業者に委託している場合でも認められるのか。

会計事務所や記帳代行業者に委託することは認められますが、保存義務者の事務所等の各税法で定められている保存場所に、電子帳簿の記録を出力できる電子計算機やディスプレイ等を備え付けておく必要があります。
また、通常の業務処理期間での処理が必要となります。

JIIMA認定情報リストで確認できる会計ソフトを利用されている方は、優良な電子帳簿の要件に該当されているか確認の上、過少申告加算税の軽減措置の届出を検討されてはと思います。
電子帳簿とすることにより、税務調査の際には、税務職員が会計ソフトを操作しながら、調査を行うことになるかと思います。
今後は、このような税務調査が主流となるのかも知れません。

記.東京事務所1課