2021/05/13

税務書類も印鑑廃止?

日常生活で印鑑を押印する書類って?

印鑑廃止が本格的にスタートしてきていますが、そもそも印鑑が必要な書類にはどのような書類があるか、日常的にどのような場面で印鑑を押しているかをみてみましょう。

・宅配便の受け取り
・履歴書に押印する
・仕事の書類に承認・確認印として押印する
・銀行口座を開設する
・車を購入する(・陸運局への届出・自動車ローン・ディーラーとの契約・自賠責保険加入・任意損害保険加入)
・家や不動産を購入する
・お金を借りる(住宅ローン・自動車ローンなど)
・アパートやマンションを借りる
・遺産を相続することになった
・保険金や補償金を受け取る
・保険に加入する
・不動産に関する取引(土地・建物などの売買、抵当に入れる)
・公正証書を作成する(契約書、金銭消費貸借証書、遺言状など)
・法人の発起人となる
・官公庁での手続き
・口座振替(口座引き落とし)で支払いを申し込む  
・申込書や契約書に押印する
・転入・転出届・転居届、出生届などお役所への届出

日常の中でも本当に様々な場面で印鑑が使われています。

印鑑を押す時の印鑑の種類も「実印」・「銀行印」・「認印」・「インキ浸透印(シャチハタ等)」と色々と種類があります。

この様々な種類の書面への押印のうち、行政手続きに関する書類の印鑑押印が廃止となってきています。
(行政手続き以外も荷物の受け取りに印鑑が不要となってきたりしています)

さらに行政手続きに関する書類も税務書類、法務書類、労働関係書類、市役所で申請する書類など、これまた色々な種類があります。

そして、全ての書類で印鑑が廃止となっているわけではありません。
また、廃止の時期も一律ではありません。

それぞれの省庁、地方自治体で確認が必要となっています。

税務書類の印鑑廃止は?

では、税務書類での印鑑廃止書類を見ていきたいと思います。

●これまでは、国税に関する法令に基づき税務署長等に提出される申告書等(税務書類)については、提出者等の押印をしなければならないこととされていましたが、令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降、一定の書類を除いて押印を要しないこととされました。

ここでいう「一定の書類」とは、

①担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

②相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

 
●代理の方が納税証明書の交付請求等をする際に提出する本人(委任者)からの委任状等についても押印は必要ありません。

ただし、実印の押印及び印鑑登録証明書等の添付などにより委任の事実を確認している特定個人情報の開示請求や閲覧申請手続きについては、引き続き、委任状への押印等が必要となります。

●国税庁のホームページに掲載している申告書等の様式については、順次、押印欄のない様式に更新しているようですが、押印欄のある様式であっても上記①、②の書類を除き押印は不要です。
 
税務署窓口にて備置き又は配布している様式については、当面の間、既に刷成済みの押印欄のある様式も使用するようですが、これらについても上記と同様の取扱いになります。
 
ちなみにホームページや税務署配布のすべての様式が押印欄のないものに更新された後であっても、過去に入手又は印刷した押印欄のある様式は使用できます。

なお、押印原則不要の改正については、大綱の注意書きに「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする」とも明記されており、押印不要の取扱いは今年提出する確定申告から実質スタートしています。

つまり、税務書類については大半の書類が印鑑廃止となっています。

印鑑を廃止した場合の今後

そもそも企業での印鑑の役割とはどんなものがあるでしょうか。

・契約書への押印
・税務署等へ提出する申告書への押印
・請求書に押す角印
・経費精算の書類に押す確認印
・収入印紙の消印
・銀行通帳の銀行印
・荷物の受取り印

いろいろな場面で印鑑は使われています。

印鑑の役割は、確認・承認したことの証明として書類へ押印することです。

その印鑑のメリットは手軽で簡単ですが、デメリットは実印も偽造が可能であったり、本人がその場にいないと押印が出来ない事です。

コロナ禍のもとでテレワークを妨害してしまったのは、会社内での確認印制度でした。押印をするには会社へ出社する必要があり、そのことが社会問題にまでなりました。

最近は書面が電子化になり、電子署名となったり、実印に変わり、ICカードなどによる電子認証が使われる機会が増えつつあります。この先、電子認証のために必要になるのがマイナンバーカードです。

例えば、国税電子申告・納税システムいわゆるe-Taxは、すでにほとんどの税理士がこのシステムを使って申告書を提出しており、2020年4月1日以降、大企業へのe-Taxの義務化が始まっています。

e-Taxは、申告書や申請書への押印が無くなるだけでなく、納税もネットバンク経由で簡単に行うことができます。

印鑑廃止は国をあげての政策になっており、今後急速に進むでしょう。

記.大阪事務所4課