2021/02/22

セルフメディケーション税制の概要と注意点

医療費控除の概要と対象条件

医療費控除の概要

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費の金額が所得金額の5%相当額(その金額が10万円を超える場合には10万円)を超えるときに200万円を限度として、その人の所得金額から控除するものです。

医療費控除の対象となる医療費

1.医師又は歯科医師による診療又は治療の対価
2.治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価
3.病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
4.あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
5.保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価
6.助産師による分べんの介助の対価
7.介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
8.介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
9.次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯などの購入費用、傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合におむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。)
10.骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
11.日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
12.高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限ります。のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金(平成20年4月1日から適用されます。)

医療費控除の対象とならないもの

1.健康診断の費用や医師等に対する謝礼金
2.美容整形手術の費用
3.ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないもの
4.資格のない者に対して支払う費用
5.家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目で支払ったもの
6.生活援助中心型の訪問介護の利用料
7.自己都合による差額ベッド代
8.自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等
9.分娩のための実家への帰省費用
10.治療を受けるために直接必要としない近視や遠視のための眼鏡、補聴器等の購入費用
11.その年中に未払となっている医療費は現実に支払われるまでは、対象となりません。

医療費控除の計算と手続き

医療費控除の対象となる金額

合計所得金額が200万円以上かどうかで違いがあります。

合計所得金額が200万円以上の場合
(支払った医療費の合計額)-(保険金などで補填される金額)-10万円

合計所得金額が200万円未満の場合
(支払った医療費の合計額)-(保険金などで補填される金額)-(所得金額の5%)

所得200万円未満の人とは、給与所得のみの場合、おおよその給与収入が297万円以下の人が該当します。

保険金などで補填される金額

生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費、家族療養費、出産育児一時金、高額介護合算療養費など医療費の支出の事由を給付原因として支給を受けるものです。
保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

申告手続き

平成29年分の確定申告から領収書の提出が不要となりました。領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必要となり、医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。また、医療保険者(協会けんぽ等)から交付を受けた「医療費のお知らせ」を添付すると明細の記入を省略できます。ただし、このお知らせには9月分までしか記載されていませんので10月分から12月分については領収書に基づいて明細書を作成する必要があります。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている個人が平成29年1月1日以後の各年において自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その年中に支払った金額の合計額が1万2千円を超えるときに、その超える部分の金額を8万8千円を限度として、その人の所得金額から控除するものです。
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、従来の医療費控除との選択適用となり、従来の医療費控除を併せて受けることは出来ません。

対象となる特定一般用医薬品購入費とは

医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。
対象商品のパッケージには「セルフメディケーション税制控除対象」といった識別マークが付けられ、レシートにも対象商品に印がついています。

医療費控除の対象となる金額

(支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額)-(保険金などで補填される金額)-1万2千円

申告手続き

申告される方が「一定の取組」を行っていることが要件とされています。具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。
1.保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
3.予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
4.勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
5.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
6.市町村が健康増進事業として実施するがん検診

上記を受診し、証明書を確定申告書に添付するか、提出の際に提示する必要があります。
取組に要した費用は控除対象となりませんので注意して下さい。
領収書は医療費控除と同様に提出は不要ですが、「セルフメディケーション税制の明細書」の添付が必要となります。

記.大阪事務所1課