2021/01/12

令和2年分の年末調整の様式変更について

給与所得控除や基礎控除、寡婦控除等の改正

給与所得控除の引き下げ

給与所得控除とは、給与所得者の給与収入からその金額に応じた一定の金額を控除するものですが、今回の改正により原則10万円が引き下げされました。さらに上限額が220万円(給与収入1,000万円超)から195万円(給与収入850万円超)に引き下げられています。

基礎控除額の引き上げ(高所得者は引き下げ)

基礎控除とは所得控除の一種で職業や扶養者の有無に左右されず、誰でも一律で受けられる控除ですが、今回の改正により原則10万円引き上げ(38万円→48万円)がされました。ただし、高所得者の人はその合計所得金額により段階的に控除額が引き下げられています。
具体的には2,400万円超~2,450万円以下だと32万円、2,450万円超2,500万円以下だと16万円と段階的に引き下げられ、2,500万円を超えると控除はゼロになります。

所得金額調整控除

上記の給与所得控除の引き下げに記載されている上限額の引き下げに伴い子育て世代等の税負担を増やさないために今回から創設された控除です。
具体的にはその年の給与の収入金額が850万円を超える所得者で、次の4つの要件のいずれかに該当する場合に、給与の収入金額(その給与の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額(注1)を、給与所得(注2)の金額から控除することとされました。
イ 所得者本人が特別障害者
ロ 同一生計配偶者が特別障害者
ハ 扶養親族が特別障害者
ニ 扶養親族が年齢23歳未満(平成10年1月2日以後生)
(注)
1 (給与の収入金額-850万円)×10% (最高15万円)
2 「令和2年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用して求めた給与所得控除後の給与等の金額

給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告

給与所得者の基礎控除申告書

今回の改正により追加された項目ですが、一番問い合わせが多い項目です。
今回の改正である所得金額調整控除と配偶者控除の項目が合わさってしまっているため非常に分かりづらくなっていますが、下記を参考にご記入頂ければ簡単かと思います。


配偶者がいない方や配偶者控除、配偶者特別控除を受けない方で
※合計所得金額が900万円以下の方
→『区分1』の欄は配偶者控除を受ける方用の欄のため空欄でOK,
判定欄の『900万円以下』にチェックし、『基礎控除の額』欄に48万円と記載
※ここでいう合計所得金額とは上記(1)3の所得金額調整控除前の金額です。以下同じ。


配偶者控除又は配偶者特別控除を受ける方で合計所得金額が1,000万円以下の方
→その合計所得金額により区分が(A)(B)(C)に分かれるため
該当する判定欄にチェックし『区分1』欄に該当するアルファベットを記載、『基礎控除の額』欄に48万円と記載
    

合計所得金額が1,000万円超2,500万円以下の方
→配偶者控除、配偶者特別控除は受けられないため『区分1』の欄は空欄、該当する判定欄にチェックし『基礎控除の額』欄は合計所得金額に応じて48万円OR32万円OR16万円を記載


合計所得金額が2,500万円超の方
→配偶者控除、配偶者特別控除は受けられないため『区分1』の欄は空欄、判定欄にチェックはせず『基礎控除の額』欄はゼロを記載
※合計所得金額については説明を割愛させて頂きます。また、年末調整の対象となる給与の収入金額が2,000万円を超える場合には、年末調整は行われません。

給与所得者の配偶者控除等申告書

上記1.②に該当する方のみ記載することになります。記載内容は前年と同じです。

所得金額調整控除申告書

その年の給与所得金額が850万円を超える方で上項の改正の内容 3.イロハニの要件に該当する方のみ記載することになります。

以上となります。
記載欄がかなり増えており内容も複雑なためどこを記載すれば良いか迷ってしまう方が多いと思いますが、上記の①~④を参考にご自身がどの区分に該当されているかをご確認後記載を進めて頂ければと思います。

記.東京事務所2課