2020/12/08

補助金・助成金の収益計上時期について

原則的な計上時期

補助金・助成金を申請した場合、申請から交付されるまで補助金・助成金の種類によってそれぞれ流れがありますが、どの段階で収益の計上を行えばいいでしょうか?
   
補助金・助成金については原則的に支給決定のあった日の事業年度に計上する必要があります。

「申請」→「交付決定通知」→「確定通知」→「交付」というのが申請から交付までの簡単な流れとなり、この「確定通知」により支給決定のあった日を確認する必要があります。(※助成金、給付金については交付・給付決定をもって確定通知となる場合があります。)

ただし、持続化給付金については支給決定通知には支給決定の日の記載がなく、通知書が届く前に入金がされるケースが一般的で、支給決定の日を確認することができません。
そのため実際の支給日と支給決定通知が届いた日には支給決定がされていると考え、「支給日」又は「支給決定通知が届いた日」のいずれか早い日により判断をすると思われます。

また、事業年度をまたいで前事業年度に支給決定があり、翌事業年度に入金がされた場合は、支給決定がされた前事業年度の収益として未収計上を行う必要がありますので注意が必要です。

例外的な計上時期

上項で補助金・助成金の収益計上時期は支給決定のあった日の事業年度に計上することをお伝えしました。
しかし法人税基本通達2-1-42(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)において例外的な取り扱いが規定されています。

通達では、法人が支出する休業手当、賃金等の経費を補填するために雇用保険法などの法令に基づいて受ける給付金等は、その給付の原因となった休業、就業等の事実があった日の属する事業年度において、金額を見積り、収益を計上するものとされています。

これは経費補填を目的とした補助金・助成金について、経費が先行計上されている場合は、収益費用対応の観点からその経費計上がされている事業年度において補助金・助成金の収入も未収計上を行うように要求しています。

この場合は申告時点までに支給金額が確定していなくても、金額を見積もる必要があるため、申請時点で算定した受給申請額などを把握しておく必要があります。

新型コロナウイルスに関連する補助金・助成金

最後に実際に申請をされてるケースが多いと思われる、新型コロナウイルスに関連する代表的な補助金・助成金等の計上時期についてお伝えいたします。

①支給決定のあった日の事業年度で計上するもの 
・持続化給付金
・家賃支援給付金
・自治体の休業協力金(東京都感染拡大防止等協力金など)

②給付の原因となった事実があった日の事業年度で計上するもの
・雇用調整助成金
・緊急雇用安定助成金
・小学校休業等他対応助成金

自治体や機関ごとに様々な補助金・助成金があります。そもそも非課税であるものについては、検討の必要はありませんが、法人税や所得税の課税の対象となるものについては、税理士等の専門家やそれぞれの機関に相談をするなどして計上時期に注意していただければと思います。

記.東京事務所1課