2020/11/02

住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税の特例

住宅取得資金の贈与のあらまし

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

【非課税限度額】
受贈者ごとの非課税限度額は、次のイ又はロの表のとおり新築等をする住宅用の家屋の種類ごとに、受贈者が最初に非課税の特例の適用を受けようとする住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日に応じた金額となります。

イ住宅用の家屋の消費税等の税率が8%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日  省エネ等住宅  左記以外の住宅
~平成27年12月31日            1,500万円    1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日      1,200万円     700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日      1,000万円     500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日       800万円     300万円

ロ住宅用の家屋の消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日  省エネ等住宅  左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日      3,000万円    2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日      1,500万円    1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日      1,200万円     700万円

※既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となります(一定の場合を除きます。)。ただし、上記ロの表における非課税限度額は、平成31年3月31日までに住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合でも、その金額を控除する必要はありません。
また、平成31年4月1日以後に住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結して非課税の特例の適用を受ける場合の受贈者ごとの非課税限度額は、上記イ及びロの表の金額のうちいずれか多い金額となります。

住宅取得資金の贈与の注意すべきタイミング

住宅取得資金の贈与ですから住宅取得の前に贈与を受けることになります。
住宅を自己資金で購入した後に親、祖父母から贈与を受けた場合には住宅取得資金の贈与ではなく単純な金銭贈与になります。
また、住宅をローンで購入し直後に親、祖父母から贈与を受けてローンを返済した場合には、借入金返済資金の贈与とされ同じく単純贈与と解釈されて多額の贈与税を支払うことになります。
では、なるべく早めの贈与が良いかとするとそうでもありません。

①贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充てて住宅用家屋の新築等をすること。
②贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること。

以上の要件があるのでまだ契約が不確定であるのに贈与を受けてしまうと契約締結とならなかった場合には金銭贈与となってしまう。
他にも今11月ですが先に資金贈与を受けて建築会社と契約となったとして来年の3月15日までに完成引き渡し、そして居住開始が可能かどうか?非常にタイトなスケジュールであり危険性が大きいですよね。
では、いつのタイミングが良いかというと購入資金の支払いの直前でしょうね。親、祖父母から資金を受贈者の口座に振込んでいただき、その口座から建築業者に支払うという明確な流れを残しておくべきでしょう。
贈与を受けた口座は手つかずのままで受贈者の他の口座から支払ったのであれば住宅取得資金の贈与を受けて支払ったと説得は難しいと思います。一連の行為を疑いのなく説明できるように行うことがとても重要です。

住宅取得資金の贈与のメリット

まだ、資金力のない若い子供夫婦、孫夫婦に居住用家屋の取得資金を融通させてやり、かつ、贈与税が課税されないのは大きなメリットでしょう。
更に、祖父母又は父母の将来の遺産を減らすことになりこれは大きな相続対策の一つとなります。
この贈与については、俗にいう3年内加算の対象にはならないので贈与したのちに3年以内に相続が開始したとしても相続対策のメリットは活かされます。

住宅を共有名義とする場合の注意事項

夫婦の居住用家屋ですから夫婦共有名義とされる方も多いと思います。
家屋の持ち分の登記も気を付けていただきたい部分です。

夫 自己資金      2,000万円
妻 住宅取得資金    1,000万円(全額非課税対象)

以上の資金で3,000万円の建物を購入した場合にはお解りのとおり夫:妻=2:1とすべきです。

夫婦仲良く1/2ずつにしましたなんてダメですからね。
資金と所有権である持ち分との差異には贈与税が課税されることになるので注意が必要です。

また、共有の場合であれば夫婦がそれぞれの親から住宅取得資金の贈与を受けることが可能です。
(相手の親、いわゆる義父母からはダメです。)

この非課税規定は1人のみに適用されるのではなく夫婦それぞれ適用受けることが可能です。

夫 住宅取得資金    1,500万円(全額非課税対象)
妻 住宅取得資金    1,500万円(全額非課税対象)

夫:妻=1:1となります。

贈与税は非課税、税金納めなくて良い。何もしなくてよい!って訳ではありません。

この非課税の適用を受けるためには必要な書類を整えて贈与税の申告を期限内に行う事が必要です。

また、この贈与税の非課税の適用を受けるための要件、受ける受贈者についての要件該当する建物の要件が事細かに決められています。
税金を非課税にしてもらうためには、それなりの知識と手続きが必要です。
詳しくは国税庁のタックスアンサーNO.4508に詳細がありますのでご確認よろしくお願いします。

記.名古屋事務所2課