2020/10/13

最新年末調整書類作成ソフト

年末調整の際に作成する書類は以下のように複数あります。

・扶養控除等(異動)申告書
・基礎控除申告書        new
・所得金額調整控除申告書    new
・配偶者控除等申告書
・保険料控除申告書
・住宅借入金等特別控除申告書

特に令和2年は所得税の改正により「基礎控除申告書」、「所得金額控除申告書」が追加されています。
さらに追加された2つの書類は、「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」として1枚の書類にまとめられています。
従業員からすると、どの申告書が必要?どこに何を書くの?となりそうです。
また今年はコロナの影響で年末調整の説明会も中止になっているので会社の年末調整担当者も不明な点が多いかと思います。

そこで「年末調整書類作成ソフト」によるオンライン作成です。

まずパソコンの場合は、以下の国税庁のサイトから「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」をダウンロードします。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm

スマホの場合はアプリをダウンロードします。
iPhoneの場合はAPPstore、アンドロイドの場合はGooglePlayで「国税庁、年末調整」と検索すると候補として表示されます。
「年末調整」だけでは表示されません。

次にソフトやアプリを立ち上げて「質問に回答する」を選択します。
年収の見込額、家族構成、住宅ローンの有無などの質問に答えていくとあたなに該当しそうな申告書が一覧で表示されます。

そして表示された申告書を全て選択して詳細を入力していきます。
順次入力を進めていくと、適用要件を自動判定してくれます。
そのため要件に該当しない場合は、選択した「配偶者控除等申告書」や「所得金額控除申告書」が不要であることを教えてくれます。、

適用要件とは別に、「住宅借入金等特別控除申告書」は令和元年以降に住宅借入金特別控除を受けた場合に限り作成可能です。
平成30年以前に住宅ローン控除を受けた方は今まで通り書面作成となります。

アプリやソフトを入力する際に必要な書類もあります。
保険会社や銀行から送られてくる以下の証明書です。

・生命保険料控除等証明書
・地震保険料控除証明書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

今までは保険会社等から各種証明書が書面で届き、保険料控除等を手計算して書類を作成していたかと思います。
保険料控除は控除限度額があったり、有利不利などもあり多少の知識が必要でした。
また証明書を紛失した場合は保険会社に再発行を依頼したり、年末調整の時期に間に合わなければ確定申告する必要がありました。

今年から一部の保険会社については、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書のデータをマイナポータルに届けてくれます。
マイナポータルと年末調整書類作成ソフトを連携すると保険料データを読み込ませることができ、自動で各種保険料控除額等を計算してくれます。
データで送られてくれば紛失の心配もなく再発行の手間も省けます。計算間違いも減るかと思います。

余談ですが、マイナポータルとetaxソフトを連携させておけば令和2年分の確定申告についても生命保険料控除等が自動計算されます。

住宅取得資金に係る年末残高証明書は、令和2年9月現在、住宅金融支援機構のみマイナポータルに届きます。
他の銀行等は未対応です。
来年以降、少しずつ対応する銀行も増えてくるかと思います。

現在の連携可能先一覧
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/pdf/mynapo.pdf

そして作成した申告書はデータとして会社に提出するか、PDFを印刷して提出します。
※従業員がデータとして会社に提出する場合は、会社が事前に税務署長の承認を受ける必要があります。具体的には「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的記録方法による提供の承認申請書」を税務署長に提出します。この届出書は、提出期限が特に定められていない珍しい届出書です。書面で提出する場合は、会社の承認の有無は関係ありません。

承認を受けた会社側は、受け取ったデータを年末調整ソフトに読み込ませることができるため手入力作業が減らせます。
書面で受け取った場合でも計算間違いや記入漏れ、証明書不足、確認事項等が少なくなります。
またデータ保管が可能なため書類の保管場所に困っていた従業員が多い会社にとっても利便性が高まるかと思います。

まだ始まったばかりの制度なので、対応している保険会社や銀行が少ない等これからの部分もあります。
会社側の年末調整ソフトが対応していない可能性もあります。
ただ将来的には、会社と従業員の双方にとって年末調整の作業量が減る可能性があるので検討されてみてはいかがでしょうか?

記.名古屋事務所1課