2020/09/28

消費税のインボイス制度について

インボイス制度?

令和元年(2019年)10月に消費税増税が施行されましたが、それと同時に消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入されます。
このインボイス制度は令和5年(2023年)10月から導入予定となっています。

インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」ともよばれ、一定の要件を記載した請求書や納品書を発行・保存するという制度です。
「適格請求書」は仕入税額控除を受ける際に必須となるため、取引先も含めて適格請求書の発行に対応できるように準備しておく必要があります。

なお、令和元年(2019年)10月1日から令和5年(2023年)9月30日までは「区分記載請求書等保存方式」となっています。(現行)

「区分記載請求書等保存方式」とは、一定の要件を記載した「区分記載請求書」(領収書、納品書、レシートなど)及び「帳簿」の保存が消費税の仕入税額控除の要件となっています。

◆「区分記載請求書」の記載事項は次のとおりです。
・発行者の氏名又は名称
・取引年月日
・取引の内容
・受領者の氏名又は名称
・軽減税率の対象品目である旨(「※」印等をつけることにより明記)
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)

※「区分記載請求書」の交付義務及び交付した「区分記載請求書」の写しの保存義務はありません。

※支払対価の額が3万円未満の場合や「区分記載請求書」の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、必要な事項を記載した「帳簿」の保存により仕入税額控除をすることができます。

適格請求書等保存方式とは?

適格請求書とは、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類をいいます。(請求書や納品書、領収書、レシート等、その書類の名称は問いません。)

適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます 。
適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。

※なお、適格請求書発行事業者は課税事業者でなければ登録を受けることはできません。

※登録申請書は、令和3年10月1日から提出可能です。適格請求書等保存方式が導入される令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として、令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。

◆「適格請求書」の記載事項は次の通りです。
・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び■登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は 税込み)及び■適用税率

■消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
※■が「区分記載請求書」より追加項目

免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

適格請求書等保存方式の導入後は、免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除を行うことができません。
ただし、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等及びこの経過措置の規定の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存している場合には、次のとおり、一定の期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。

期間                      割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで   仕入税額相当額の80%

令和8年10月1日から令和11年9月30日まで   仕入税額相当額の50%

免税事業者の登録手続

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請書に加えて「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要がありますが、令和5年10月1日を含む課税期間中に登録を受ける場合は、登録を受けた日から課税事業者となる経過措置が設けられています。

まとめ

今回のポイントをまとめると、仕入税額控除に対応していくためにはインボイス制度への対応が必要になってくるということです。
課税事業者が免税事業者と取引する場合、仕入税額控除ができなくなってしまいます。
このため、免税事業者においても、インボイス制度の開始によって取引上不利になることが予想され、課税事業者にならざるを得ないケースもでてくると思われます。

インボイス制度まではまだ期間がありますが、免税事業者にとっては課税事業者を選択して適格請求書発行事業者の登録を受けるのか、そのまま免税事業者のままで取引が可能かの検討が必要かと思います。

記.大阪事務所4課