2020/09/18

新型コロナウイルス感染症による社会保険料の特例

通常の標準報酬月額の改定

社会保険には、定時決定(算定基礎)と随時改定(月額変更)の2種類の改定があります。

定時決定(算定基礎)

毎年4、5、6月に支給された給与(報酬)をベースに、9月に社会保険料が改定されます。
9月に改定された社会保険料は、原則翌年の8月まで変わりません。届出の書類は、毎年6月上旬から中旬くらいに、日本年金機構から各事業主へ郵送されてきます。
提出期限は毎年7月10日になっています。

随時改定(月額変更)

給与(報酬)の固定的賃金(基本給、通勤手当、諸手当、歩合給の歩合率など)が変更になり、下記1、2に該当するとき、変更後の給与が支給された4か月目から社会保険料が変更されます。
1.標準報酬月額(※)が2等級以上かわる。
2.給与(報酬)が変更になった月から3か月間すべての、各月17日以上の給与計算の基礎日数(有給休暇、会社都合の休業など含む)がある。

変更時には、事業主から年金事務所の月額変更届の提出が必要です。
(※)標準報酬月額は、給与(報酬)によって決まります。国によって、支払われる給与(報酬)で等級分けされ、等級ごとに社会保険料が定められています。

今回の標準報酬月額の特例改定について

給与(報酬)が、標準報酬月額が2等級以上下がった翌月(2か月目)から、社会保険料が下がります。
ただし、給与(報酬)が下がった月を含め3か月間すべての、各月17日以上の給与計算の基礎日数(有給休暇、会社都合の休業など含む)が必要です。

今回の標準報酬月額の特例改定の要件(対象となる方)

以下の条件をすべて満たせば、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)を給与(報酬)が下がった翌月(2か月目)から改定できます。
標準報酬月額の特例改定は、次の3つのすべてに該当する場合に行うことが可能です。

1.事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)させたことにより、令和2年4月から7月までの間に、給与(報酬)が著しく低下した月として事業主が届け出た月が生じた方。

2.著しく給与(報酬)が低下した月に支払われた給与(報酬)の総額(1か月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がった方。
※固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となります。

3.今回の特例による改定を行うことについて、本人が書面により同意(本人から「同意書」を取っておきます。書式は任意です。)している方。
※被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となります。
(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金の額が算出されることへの同意を含みます。)
※今回の特例は、同一の被保険者について複数回申請を行うことはできません。

今回の標準報酬月額の特例の対象となる期間・保険料

令和2年4月から7月までの間に休業により給与(報酬)等が著しく下がった場合に、その翌月の令和2年5月から8月分の保険料が対象になります。

健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届の特例改定用の届に新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の改定に係る申立書を添付して管轄の年金事務所に申請(郵送または持参)して下さい。

*令和3年1月末日までに届出があったものが対象となります。それまでの間は遡っての申請が可能です。
申請により保険料が遡って減額した場合、被保険者へ保険料を返還する必要があります。
また事務の複雑化や年末調整等への影響も考え、できるだけ速やかに申請届出することをおすすめします。

今回の特例改定の注意点

・傷病手当金・出産手当金などの給付額の計算には、特例の標準報酬月額が使われます。
・将来受け取る年金額の計算には、特例の標準報酬月額が使われます。
・届出できるのは、1人1回限りです。
※給与(報酬)が対象期間中に変動していたとしても1回のみです。
たとえば5月と7月に対象者Aさんの届出をするときは、5月か7月のどちらかでしかできません。
事業者は、対象者ごとに複数回にわけて届出できます。

記.大阪事務所4課