2020/07/29

税金の歴史

歴史から見るわが国の税

弥生時代

弥生時代の租税については「魏志倭人伝」に税(食糧など)を集めて、収めていたことが記述されています。
これが日本の税に関する最初の記述と言われています。
穀物の献納と労働力の提供からなる租税の形態が弥生時代後期末に既に存在したということです。

飛鳥時代

701年に完成した大宝律令が制定され、租・庸・調という税や労役をかける税のしくみができました。

租:男女の農民に課税され、収穫した稲を収める税。
庸:都での労働(年間10日間)、又は布を納める税
調:布や絹などの諸国の特産物を納める税。

奈良時代

奈良時代には、墾田永年私財法(743年)が制定され、土地の私有化へと展開していきました。

平安時代

平安時代には大きな寺社や貴族の荘園が各地にでき、農民は荘園領主に年貢や公事、夫役などを納めました。

年貢:田の年貢は米、畑の年貢は現物と金納。
公事:糸・布・炭・野菜などの手工業製品や特産物。
夫役:労働で納める税。

鎌倉時代

鎌倉時代は守護、地頭や荘園領主のもとで経済が発達しますが、農民には年貢のほかに公事と夫役が課せられていました。

室町時代

室町時代には、税の中心は年貢でしたが、商業活動の発達により商工業者に対しても税が課せられ、地子、段銭、棟別銭、関銭、津料という新しい税が課されました。

地子 :領主が田地・畠地・山林・塩田・屋敷などへ賦課した地代
段銭 :臨時の支出が必要な時に地域を限定し、臨時に課する税
棟別銭:家屋の棟数別に課税された税金
関銭 :関所を通過する人馬や船、荷物などに対して徴収した通行税
津料 :元来は津(港)の施設の管理・維持のための費用を調達するための税

安土桃山時代

全国統一を行った豊臣秀吉は、土地を調査して太閤検地を行い、農地の面積だけでなく、農地の収穫高などを調べて年貢を納めさせるようにしました。
当時の税率は、二公一民といい、収穫の三分の二を年貢として納めました。

江戸時代

江戸時代には、田畑に課税される年貢の地租が中心で米などを納めました。
また、商工業者に対する税も、運上金・冥加金といったかたちで納めました。

運上金:一定の税率よる金納の営業税。
冥加金:幕府や藩から営業を公認されたことに対する献金という性格の税。

明治時代

明治政府は1873年に地租改正を実施し、土地の地価の3%を地租として貨幣で納めさせました。
また所得税や法人税が導入されたのもこの頃です。

大正時代

戦費調達のため、増税が続きました。一方で、現在ある税のしくみができ始めたのもこの頃です

昭和時代

所得税が分類所得税と総合所得税の2本立てとなり、分類所得税はその源泉種類に応じて①不動産②配当利子③事業④勤労⑤山林⑥退職の6種類に分けられました。また勤労所得に源泉徴収制度が導入されました。
1946年には日本国憲法が公布され、教育、勤労にならぶ三大義務の一つとして「納税の義務」が定められました。
また翌年には、納税者が自主的に自分の所得や税額を計算して申告・納税する申告納税制度が導入され、1950年にはシャウプ勧告に基づき税制改革が行われました。この勧告の考え方は、今日においても税制度の基盤であるといわれています。

シャウプ勧告とは?

戦後混乱した日本の経済事情の下で、どのような税制をたてるべきかということについて、来日した、アメリカのコロンビア大学教授シャウプ
博士の使節団が調査を行い提出した勧告のことです。この勧告には、直接税中心の税制にすることや、地方財政の強化などが盛り込まれました。

世界のおもしろい税金

世界に目を向けてみると、面白い税金があります。

①独身税(ブルガリア)
1968年から1989年まで少子化対策のために、独身の国民に税を課すというもの。収入のうち、5%~10%の税金を課しました。

②犬税(ドイツ、ほか)
犬を飼っている家庭に課せられる税金です。ドイツだけでなく、オランダやスイスなど、ヨーロッパのいくつかの国で導入されています。
日本でも30年上前に存在しました。

③渋滞税(イギリス・ロンドン)
渋滞が恐ろしくひどいため、導入された税金。平日の午前7時から午後6時半の間に、ロンドン中心部の特定のエリアに自動車で進入すると課金される仕組みになっています。

④営業税(ドイツ)
ドイツでは日曜に営業をする場合は税金が課せられます。お金を払わないと日曜にお店をあけることができません。

⑤ポテトチップス税(ハンガリー)
ハンガリー政府が肥満防止のために導入した税金。塩分や糖分の高いスナック菓子やジュースに対して課せられる税金で、ポテトチップス1袋に対して日本円でだいたい80円ほどがかけられるそうです。

⑥脂肪税(デンマーク)
ポテトチップス税に似た肥満を予防するための税金で、脂肪分を含むバターやチーズ、肉などにかけられます。

⑦月餅(げっぺい)税(中国)
月餅(げっぺい)とは円形の平たいお菓子のことで、中国では中秋の名月である9月12日に、この月餅(げっぺい)を食べながらお月見をする習慣があります。そのため、中国のさまざまな企業が従業員に月餅を配っていたのですが、これが課税対象だと政府が判断し、税金を課すことにしました。

⑧光るおもちゃ税(アメリカ・ウエストバージニア州)
激しく発光したり、火花が出るような銃のおもちゃに対しては課税しますよ、というもの。ほかには花火なども同じ税が課せられます。

日本の「入湯税」

日本にも意外と知られていない日本特有の税金があります。それは入湯税で、温泉を利用するときに課せられる税金です。基本税額は150円で、温泉の利用料金や温泉のある宿の宿泊料金に上乗せされているので知らない人も多いかもしれませんね。

税ってなんだろう?税金の役割

① 公共サービスの主要な財源
私たちが円滑な日常生活を送るためには、国や地方公共団体から様々な公共サービスの提供が必要となります。
国は、外交や司法など国の存立に関わる業務を担い、地方公共団体は、地域社会に密着した教育、保健衛生、上下水道、産業、警察、消防などの福祉や生活環境を中心とした仕事を担うという役割を行っています。
私たちは公共の仕事に必要な経費を、主に、国税や地方税という「税金」の形で負担しています。つまり、税金は、「社会の一員として暮らしていくうえでの会費」のようなものです。

② 税の機能
税とは、国や地方団体が、その活動に必要な一般財源や特定の使途の財源を賄うため、個人や法人などから強制的に徴収する金銭です。
その主目的は「国や地方団体の活動経費の調達」にありますが、別の目的として税の徴収が国民経済に大きな影響を及ぼすことを利用して次のような役割を果たしています。

ア 資源配分機能
社会資本の整備や公共サービスは,民間企業では提供しにくい為,国民が必要とする量には満たない場合が多くあります。そのため,国や地方公共団体に納められた税金を使うことで,不足しがちな社会資本や公共サービスを提供しています。

イ 所得再分配機能
日本の所得税や相続税などの税金は,利益や相続財産の多い人には高い税率の負担を,少ない人には低い税率の負担を求める「累進課税制度」がとられています。
この制度により納められた税金は,社会保障制度などを通じて,利益の少ない人の生活を助けたり,心身に障害のある人の生活を助けたりするためにも役立てられています。このように税金は,国民の間での所得格差を縮める役割をもっています。

ウ 経済の安定化機能
景気の良いときは,個人や法人の経済活動は活発となり,利益が多くなります。利益が多くなると税金の負担額も増えるため,その分投資や消費にまわる資金が減ることから,景気の過熱に自動的にブレーキがかかります。
逆に景気の悪いときは,経済活動は冷えこみ,利益が少なくなります。利益が少なくなると税金の負担額も減るため,その分投資や消費にまわる資金が増えることから,景気の落ち込みを緩めます。
また,税金に関係する制度を改正することにより,国民が計画的に家を購入したり,土地や株式を売買しやすくしたりして投資を促すなど,経済活動を活発にして,景気を良くすることもできます。

以上税の歴史について触れましたが、税金は税理士にご相談ください。