2020/06/24

リース取引について

リース取引についての取扱い

法人が平成20年4月1日以後に締結する契約に係る賃貸借(リース)取引のうち一定のもの(以下「法人税法上のリース取引」といいます。)については、その取引の目的となる資産(以下「リース資産」といいます。)の賃貸人から賃借人への引渡し(以下「リース譲渡」といいます。)の時にそのリース資産の売買があったものとされます。

また、法人が譲受人から譲渡人に対する法人税法上のリース取引による賃貸を条件に資産の売買(いわゆるセール・アンド・リースバック取引)を行った場合において、その資産の種類、その売買及び賃貸に至るまでの事情などに照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、その売買はなかったものとされ、かつ、その譲受人(賃貸人)からその譲渡人(賃借人)に対する金銭の貸付けがあったものとされます。

法人税法上のリース取引

法人税法上のリース取引とは、資産の賃貸借(一定のものを除きます。)のうち、次の要件の全てを満たすものをいいます。

(1)リース期間中の中途解約が禁止されているものであること又は賃借人が中途解約する場合には未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として90%以上)を支払うこととされているものなどであること。

(2)賃借人がリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。

なお、リース期間(契約の解除をすることができないものとされている期間に限ります。)において賃借人が支払うリース料の額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額のおおむね90%相当額を超える場合には、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることに該当します。

賃貸人等における処理は?

(1)売買があったものとされる場合
リース譲渡は長期割賦販売等に含まれます。したがって、その賃貸人は、リース譲渡の日の属する事業年度においてリース譲渡に係る収益及び費用の額を計上する方法(原則的な方法) のほか、通常の延払基準の方法、リース譲渡に係る延払基準の方法又はリース譲渡に係る収益及び費用の計上方法の特例により、リース譲渡に係る収益及び費用の額を計上することが 認められています。

(2)金銭の貸付けがあったものとされる場合
法人税法上のリース取引が金銭の貸付けがあったものとされる場合には、その資産の売買により譲受人(賃貸人)が譲渡人(賃借人)に支払った金額は貸付金の額として取り扱われ、譲受人が収受すべきリース料の額の合計額のうちその貸付金の額に相当する金額については、その貸付金の返済を受けた額として取り扱われます。

賃借人等における処理は?

(1)売買があったものとされる場合
法人税法上のリース取引が売買があったものとされる場合には、その賃借人は、そのリース資産を自己の資産として次のリース取引の区分に応じて償却します。
この場合において、賃借人である法人がリース料の額を損金経理しているときには、そのリース料の額は償却費として損金経理をした金額に含まれます

イ 所有権移転外リース取引
リース期間定額法
リース期間定額法の償却限度額= ((リース資産の取得価額 - 残価保証額(注1))/ リース期間の月数) × その事業年度におけるそのリース期間の月数
(注1)「残価保証額」とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が所有権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を賃借人が支払うこととされている場合におけるその保証額をいいます。

ロ イ以外のリース取引
資産の種類に応じてその法人が選定している償却方法

(2)金銭の貸付けがあったものとされる場合
法人税法上のリース取引が金銭の貸付けがあったものとされる場合には、その資産の売買により譲渡人(賃借人)が譲受人(賃貸人)から受け入れた金額は借入金の額として取り扱われ、譲渡人が支払うべきリース料の額の合計額のうちその借入金の額に相当する金額については、その借入金の返済額として取り扱われます。

リース取引の賃貸人における処理・消費税

(1)原則的な処理方法
所得税法又は法人税法の規定により売買があったものとされるリース取引(以下「リース取引」といいます。)については、原則として、賃貸人が賃借人にその取引の目的となる資産(以下「リース資産」といいます。)の引渡し(以下「リース譲渡」といいます。)を行った日に資産の譲渡があったことになります。したがって、事業者が行ったリース譲渡が課税資産の譲渡等に該当する場合には、そのリース資産の譲渡対価の全額がその引渡しを行った日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に含まれます。

(2)リース譲渡に係る譲渡等の時期の特例
事業者がリース取引について所得税法又は法人税法の所得金額の計算において延払基準の方法により経理することによりリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けている場合には、消費税についてもこの特例の適用を受けることができます。
この場合には、リース譲渡をした日の属する課税期間においてリース料の支払期日の到来しないものに係る部分については、その課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなしてその部分に係る対価の額をその課税期間におけるリース譲渡に係る対価の額から控除することができます。また、リース譲渡をした日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなされた部分は、その翌課税期間以後そのリース料の支払期日の到来する日の属する課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされます。

リース取引の賃借人における処理・消費税

リース取引による資産の譲受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日はそのリース資産の引渡しを受けた日となります。したがって、その課税仕入れについては、そのリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において仕入税額控除の規定の適用を受けることになります。
※ なお、残価保証額はリース取引開始時において消費税の課税対象とはなりません。

賃借人が賃貸借処理をしている場合等・消費税

移転外リース取引につき、事業者(賃借人)が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れ等として消費税の申告をしているときは、これによって差し支えありません。

また、次に掲げるような場合のリース期間の2年目以降の課税期間については、その課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除することができます。

(1)リース期間の初年度において簡易課税制度を適用し、リース期間の2年目以降は原則課税に移行した場合

(2)リース期間の初年度において免税事業者であった者が、リース期間の2年目以降は課税事業者となった場合

簡易課税制度選択時及び免税事業者時は賃貸借処理の方がよさそうですね。