2020/06/17

法人が支出する寄附金について

寄附金とは

寄附金とは、拠出金、見舞金などさまざまな名目がありますが、その名目を問わず金銭や資産を見返りを求めずに相手に贈与することをいいます。

ただし、広告宣伝費や見本品費、接待交際費や福利厚生費に該当するものは寄附金にはなりません。

また、寄附金となるのは、金銭や資産の贈与だけではなく、資産を時価よりも低い価格で譲った場合の時価と譲った価格の差額が寄附金となったり、会社が無利息で金銭を貸付した場合の受け取っていない利息部分が寄附金となったりする場合がります。

その事業年度の経費にできるのは、その事業年度に支払ったものだけで、未払金として経費にすることはできません。
決算日前後の寄附金には注意が必要です。

法人が支出した寄附金の損金算入限度額

税金対策のために無制限に寄附が行われ、寄附金のすべてが損金とならないように法人税法では寄附先や寄附の内容に応じて一定の制限を設けています。

1.国または地方公共団体に対する寄附金

国や都道府県、市区町村に対する金銭などの寄附です。震災などの義援金のうち、国または地方公共団体に対して直接寄附したものも該当します。

また、日本赤十字社の義援金口座に直接寄附した場合や、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金のうち、最終的に義援金配分委員会などに拠出されることが明らかなものも該当します。

損金算入限度額=支出した寄附金の全額が損金となります。

2.指定寄附金

公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ公益性及び緊急性が高いものとして財務大臣が指定した寄附金です。

例えば、赤い羽根募金や、日本赤十字社への寄附で財務大臣の承認を受けたものなどが該当します。

損金算入限度額=支出した寄附金の全額が損金となります。

3.特定公益増進法人等に対する寄附金

公共法人等のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものと認められた一定の公益法人等に対する寄附金です。

日本赤十字社の事業費や通常経費に対する寄附や、認定NPO法人等に対する寄附金で特定非営利活動に係る事業に関する寄附などが該当します。

損金算入限度額=(資本金等の金額×当期の月数/12×3.75/1000+所得の金額×6.25/100)×1/2

損金算入限度額を超える金額は、一般の寄附金の額に含めます。

4.一般の寄附金

上記1~3以外の寄附金はすべて一般の寄附金に該当します。

具体的には、町内会や政治団体、神社・寺や宗教法人への寄附などです。

損金算入限度額=(資本金等の金額×当期の月数/12×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/4

企業版ふるさと納税とは

ふるさと納税というと、個人が地方自治体等に寄附をすることによって名産品や特産品が送付され、税額控除や還付を受ける制度であることが広く周知されていますが、
法人にもふるさと納税の制度があります。
それが平成28年に創設された「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」です。

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対し、企業が寄附を行った場合に、その寄附の6割(3割)を法人住民税や法人事業税などから税額控除しようという制度です。寄附金の4割(2割)を法人住民税から、2割(1割)を法人事業税から控除します。
※法人住民税、法人事業税の税額控除にはそれぞれ上限があり、法人住民税の上限を超える部分は、法人税(上限あり)から控除します。

従来からの寄附金の損金算入による税の軽減は約3割といわれているので、企業版ふるさと納税を利用することで、寄附した場合の企業の実質的な負担を1割(4割)に軽減することができます。
※( )内の割合は2020年4月改正前の割合。

実際の利用にあたってはいくつか利用制約があります。

・本社所在地に該当する自治体への寄附は制度対象外
※寄附を行うことは可能ですが特例措置を受けられません。

・寄附を行うことの代償として「経済的な便益」を受け取ることは禁止

・最低寄附金額は10万円

・一部の自治体は制度適用外

個人のふるさと納税のように返礼品はありませんが、税額控除だけでなく社会貢献に取り組む企業としてPRできるメリットがあります。

企業版ふるさと納税の対象となる事業は、内閣府のホームページや地方自治体のホームページで公表されています。