2020/05/19

所得金額調整控除について

所得金額調整控除とは

所得金額調整控除とは令和2年から適用される、扶養控除などの所得税の所得控除の一種で、給与所得額から控除されるものです。
令和2年から同時に給与所得控除と公的年金等控除の引き下げによる増税が行われるため、一定の方には影響が無いよう創設されました。

給与所得控除については上限額となる給与収入額が、これまでの1,000万円から850万円に引き下げられることになり、また公的年金等控除も一律10万円引き下げられることなります。

この負担増について子育てや介護世帯などの一定の方、また給与収入と公的年金収入の両方があり二重に影響を受けてしまう方について、実質的に影響が無いようにするための控除となっています。

対象となる方の要件と計算方法

対象となる方は以下の二つに分けられます。

①その年の給与等の収入金額が850万円を超える方で以下のいずれかに該当する場合
・本人が特別障害者の場合
・23歳未満の扶養親族を有する場合
・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合

②その年の、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある方で、それらの所得の合計額が10万円を超える場合
控除額は上記の区分に合わせ、それぞれ以下の計算により行い、給与所得額から控除することとなります。

①(給与等の収入金額(上限1,000万円)- 850万円)× 10%
※例:給与収入950万円の場合
 
所得金額調整控除額
(950万円-850万円)× 10% = 10万円 

②給与所得控除後の金額(上限10万円)+ 公的年金等控除の金額(上限10万円)- 10万円 

その他の留意点や注意点など

次に、その他の留意点や注意点をお伝えしたいと思います。

①年末調整について
所得金額調整控除は給与所得者に対するもののため、年末調整の際に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。
様式としてはこれまで「給与所得者の配偶者控除等申告書」として使用されていたものが変更され、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」となりました。
適用するための要件や、その要件についての扶養親族・特別障害者の内容について記載をする必要があります。
 
※今回はご紹介しませんが基礎控除についても一定の改正がありました。ご留意下さい。

②夫婦の両方が適用できる
所得税法上の従来の扶養控除については、扶養控除の適用の対象となる方が2人以上の場合、適用できるのはいずれか一方とされています。
これに対し、今回創設された所得金額調整控除については、従来の扶養控除と異なり、給与所得控除の調整の観点からいずれか一方とは規定されていません。
そのため、夫婦の両方が給与収入が850万円を超え、23歳未満の扶養親族であるお子様がいる場合は、夫婦の両方が所得金額調整控除を適用することができます。

③適用開始
所得金額調整控除については、令和2年分の所得税から適用され、具体的には令和2年1月1日以後に支払うべき給与等から適用することになります。
そのため今年の年末調整から注意必要です。