2020/05/26

中小企業経営強化税制の拡充

中小企業経営強化税制の概要

中小企業経営強化税制とは、青色申告を行っている中小企業者等(※1)が対象で、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等をした場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できるものです。
ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額はその20%相当額が限度となります。
※1 中小企業者等とは、中小企業強化税制の中小企業者等に該当するものに限ります。具体的には、次のような企業です。
・資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
・資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・協同組合等
ただし、「同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人」「2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人」「前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人」は、資本金が1億円以下であっても本税制措置の対象とはなりません。

これまで、生産性向上設備(A類型),収益力強化設備(B類型)が対象の設備になっていましたが、新たにデジタル化設備(C類型)が対象に加わりました。

中小企業経営強化税制を利用するためには「経営力向上計画」の認定を受ける必要があります。デジタル化設備(C類型)を取得する内容の経営力向上計画の認定を申請する場合は、事前に経済産業局による「デジタル化設備に関する確認書」が必要になります。

経済産業局に「デジタル化設備の確認」をとり、経済産業局で「経営力向上計画の認定」を受けた後に設備を取得することが原則ですが、弾力的な運用を行う為、例外として経済産業局にデジタル化設備に関する確認の申請のみ行い、設備取得後に計画の認定を受けることが認められています。

ただし、取得日から60日以内に「経営力向上計画」が受理される必要があり,遅くとも事業の用に供した年度内に認定を受ける必要があります。
「確認書」の取得には、経済産業局は標準処理期間として1ヵ月を設けていますので、スケジュールには余裕をもって申請する必要があります。決算日近くで購入を考えている場合は、ご注意下さい。

デジタル化設備(C類型)とは?

制度が拡充されて間もない為、どのような設備が該当するかまでは明確に記載されているわけではありません。テレワーク導入に関しては下記の①に該当する物がほとんどで、具体的にはテレワークの利用拡大に必要な機器、テレビ会議用の機器、テレビ会議システムや勤怠管理システム等のテレワーク運用のためのソフトウエアなどが考えられます。

以下に「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」から要件を抜粋し記載いたします。

C類型のデジタル化設備とは、①遠隔操作、②可視化、③自動制御化のいずれかを可能にする一定の規模以上のもの(※2)で、投資計画を達成するために必要不可欠な設備です。

※2 「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいいます。
・機械装置(160万円以上)
・工具、器具備品(30万円以上)
・建物附属設備(60万円以上)
・ソフトウェア(70万円以上)

遠隔操作

1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
2)以下のいずれかを目的とすること
・事業を非対面で行うことができるようにすること
・事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること

可視化

1)データの集約、分析を、デジタル技術を用いて行うこと
2)1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
3)1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化(※3)を行うことができるようにすること

※3 「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。

自動制御化

1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
2)1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること

情報は随時更新されますので、設備のご購入をご検討される際は、事前に中小企業庁のHP等でご確認をお願いいたします。

注意点など

・中小企業経営強化税制の適用期間は、令和3年3月31日までに事業の用に供した場合となっています。

・中古品の購入は対象外です。

・税額控除限度額が、その事業年度の法人税額の20%相当額を超えるため、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合は、その控除しきれなかった金額は、翌事業年度に繰り越すことが出来ます。

・特別償却の場合は、限度額まで償却費を計上しなかった場合に、償却不足額を翌事業年度に繰り越すことが出来ます。

・リース取引により取得した設備等については、特別償却は適用されませんが、税額控除は適用されます。

・既に対象設備を購入している場合、事前準備や手続きが煩雑という場合は、中小企業投資促進税制(租税特別措置法42条の6)が利用出来る可能性もありますので、そちらをご検討下さい。ただし、中小企業投資促進税制は控除税額が取得価額の7%となっていますのでご注意ください。

今後、設備投資のご予定がある場合は、以上のような制度をご利用いただけますと、税負担を軽減出来ますので、ご検討くださいませ。

提出書類は、中小企業庁ホームページからダウンロードすることが出来ます。
また、税制の細かい内容は、中小企業庁や国税庁のホームページに記載されていますので、導入前に再度ご確認下さい。