2020/03/28

令和2年3月決算法人の仮想通貨の注意点

仮想通貨の時価評価

1.平成31年の税制改正

平成31年4月1日以後に終了する事業年度から、法人が事業年度終了時に有する仮想通貨のうち「活発な市場が存在する仮想通貨(以下「市場仮想通貨」といいます)」については、時価法により評価することとされました。
なお、その時価評価損益は翌事業年度に洗替処理することになります。
※市場仮想通貨とは、ほとんどの仮想通貨取引所で扱う仮想通貨が該当すると考えた方が良いかと思います。

2.経過措置

平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用となっていましたが、多くの法人においては経過措置があったため時価評価損益は認識していなかったのではと思います。

経過措置とは、施行日(平成31年4月1日)前に開始し、かつ、施行日以後に終了する事業年度に有する仮想通貨のうち、その事業年度において時価評価損益を経理していないときは、「市場仮想通貨に該当しないもの」として、時価法でなく原価法により評価するものです。
令和2年3月決算法人においては、施行日以降の開始となるため、経過措置の対象となりません。

時価評価の影響

1.当期損失の可能性

新型コロナウィルスの影響により、仮想通貨についても影響が出ていると思います。
3月決算時点においては、大半の法人が取得価格よりも値下がりしているのではないかと思われます。
その場合、当期においては、時価評価による評価損が発生します。 

2.翌期の影響

前期において評価損が生じていた場合、洗替処理による戻入により評価益が生じます。

その他の注意点

1.評価方法の届出

譲渡原価の額は、算出方法を選定しなかった場合は、移動平均法によるものとされています。

算出方法は、その種類ごとに選定し、総平均法とする場合は、その仮想通貨の取得した日の属する事業年度の確定申告の提出期限までに届出が必要です。

施行日に仮想通貨を有する法人については、施行日にその仮想通貨を取得したものとみなされるため、令和2年3月決算法人で、総平均法を選択する場合は、今回の申告までに届出が必要となります。