2020/03/16

譲渡所得について

譲渡所得について

所得税法第33条1項

譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
となっています。
資産を売ればなんでも譲渡所得になるわけではないです。

所得税法第33条2項

次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。

一  たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得

二  前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得

となっており、たな卸資産、山林の譲渡については譲渡所得とならずそれぞれ事業所得、山林所得、雑所得となります。

たな卸資産のカッコ書き、「これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。」
この準ずる資産として政令で定めるものというのは

所得税法施行令第81条

所得税法第33条2項1号に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。

一 不動産所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係る第三条各号(たな卸資産の範囲)に掲げる資産に準ずる資産

二 減価償却資産で「少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入」の規定に該当するもの(取得価額が十万円未満であるもののうち、その者の業務の性質上基本的に重要なものを除く。)

三 減価償却資産で「一括償却資産の必要経費算入」の規定の適用を受けたもの(その者の業務の性質上基本的に重要なものを除く。)

その者の業務の性質上基本的に重要なものというのは製品の製造、農産物の生産、商品の販売、役務の提供等その者の目的とする業務の遂行上直接必要な減価償却資産で当該業務の遂行上欠くことのできないもの(少額重要資産と言います)をいい、こちらの場合は譲渡所得に該当します。

ただし、少額重要資産であっても、貸衣装業における衣装類、パチンコ店におけるパチンコ器、養豚業における繁殖用又は種付用の豚のように、事業の用に供された後において反復継続して譲渡することが当該事業の性質上通常である少額重要資産の譲渡による所得は、譲渡所得には該当せず、事業所得に該当する。

譲渡所得になったりならなかったりでミルクボーイの漫才かっ!

さて、一般的になじみのある減価償却資産としてもう一つ出ていないものがあります。それは一定の青色申告者(青色申告者であればほぼ該当するはずです。)が適用を受けられる取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産でその事業供用をした年に取得価額の総額のうち300万円に達するまで必要経費に算入できるものです。
こちらは前述の譲渡所得の起因となる資産から除外されていませんので譲渡した場合は譲渡所得として計算をします。
取得費は取得価額がゼロですので概算取得費(譲渡対価の5%を取得費とする方法)は使えませんが、50万円の特別控除はありますので譲渡対価が50万円以下であれば2重に経費計上した事と同じ効果があります。

例えば・・・

毎年青色の特別控除後所得が50万円出て所得控除は基礎控除のみと仮定します。29万円のパソコンを買い、全額を必要経費とした場合、利益は21万円に圧縮されてそこから基礎控除38万円を引くので納税はゼロです。
翌年にまた29万円のパソコンを買って昨年買ったパソコンを15万円で売った場合本業の利益は21万円で譲渡所得は特別控除を差し引いてゼロ。こちらから基礎控除を引くのでまた今年も納税はゼロです。パソコンを売った15万円が入ってきているのにです。

これで15万円を2重に経費計上しているのと同じ効果があるとわかりますね。
減価償却資産を買うなら10万円以上30万円未満がおすすめです。
念のために付け加えておきますが消費税法は譲渡所得だからといって50万円以下は課税売上に入れないといった規定はありませんので注意してください。