2020/03/03

親子間の思わぬ贈与税に注意しましょう!

親名義の建物を子供の資金でリフォームした場合の贈与税

事例

Aさんは高齢となった両親と同居を決心しました。

同居にあたって親の所有する建物の1Fをバリアフリーにして両親の生活の場に。2FをAさん家族の生活の場として2世帯仕様にリフォームしました。
建設会社の勧めるままにAさんがリフォーム代金を銀行借入れで捻出してリフォーム工事は完了しました。

世間一般ではよくある話ですよね。しかしこの行為には贈与税が課税される事になります。
何で?意味わからんとお思いでしょう。

贈与となる理由

建物は親の名義です。親の所有物な訳です。この建物を子供が増改築すると増改築資金相当額を親が子供から受けたものとして贈与税が課税される事になるのです。
つまり子供のお金を使って親の財産(建物)の価値を高めることをした。
親に利益を与えたということになるのです。

例えばリフォーム代金が1500万円ならば
(1500万円-110万円)×45%-175万円=450.5万円
親はこれだけの贈与税を支払い子供は1500万円程価値の増加した建物を将来相続して場合によっては相続税も納税しなければならない結果となります。

贈与とされないためには

建物の登記に子供の支出したリフォーム代金相当分の持分を親から子供に移動させる必要があります。

元々の建物の時価が500万円でリフォーム代金が1500万円ならば100%親の所有権を1:3の子供と共有とすべきです。
親25% 子供75%とすることにより贈与税の課税を免れることになります。

親が借地している土地の底地部分を子供が買い取ったときの贈与税

事例

親は他人の土地を賃借しその土地に建物を建設して地代を支払っていました。
子供は親の地代負担を軽減させるためにその土地を地主から購入しました。

これで子供が地主さんとなり親から地代を受取らない事として賃貸借契約を解除しました。親孝行完了です。
しかし、これについて贈与税が課されることとなってしまうのです。

贈与となる理由

親は他人所有の土地に建物を建設しているため土地の上地部分の権利を所有しています。よく聞く言葉でいうと借地権を所有しているのです。

底地を取得した子供と今まで通りの賃貸借契約を継続するのであれば何ら問題はありません。しかし、賃貸借契約を継続しない場合には親の所有する借地権は消滅し子供に贈与されたことになります。この場合子供に贈与税の納税義務が発生します。

土地の更地時価が3000万円で借地権割合が50%であれば1500万円相当の借地権が子供に贈与となり
(1500万円-110万円)×40%-190万円=366万円(特例税率)
の贈与税を納税する必要が生じます。

贈与とされないためには

子供が所有者になった後も引続き親に借地権があるものとして「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」をすみやかに税務署に提出することにより贈与と取り扱わない事となります。
当然この場合には借地権を親が所有し続けるので将来的に相続財産となります。

以上を理解して頂き必要な処理、手続きを行って本来不必要な税金を納めなくても良いようにしてください。