2020/02/27

配当金の申告(配当所得)について

配当所得とは

配当所得とは、以下に係る所得をいいます

通常の配当所得

①法人から受ける剰余金の配当
②利益の配当
③剰余金の分配
④投資信託及び投資法人に関する法律の金銭の分配
⑤基金利息
⑥投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配

みなし配当所得

法人の合併、分割型分割、法人の株式分配、資本の払戻し、解散による残余財産の分配、自己の株式又は出資の取得、出資の消却、出資の払戻し、退社又は脱退による持分の払戻し、法人の株式又は出資の消滅、組織変更により受ける金銭等の額が、その法人の資本金等の額のうちその交付の基因となったその法人の株式等に対応する部分の金額を超える場合の、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産。

配当所得の金額の計算

配当所得の金額の計算は、収入金額から元本を取得のために要した負債の利子を控除した金額になります。

配当金の課税

確定申告する場合

確定申告する場合は、申告する上場株式等の配当等の全てについて総合課税又は申告分離課税のいずれかを選択します(一部を総合課税、残りを申告分離課税とするような選択はできません)
①総合課税
総合課税は、他の所得(給与所得、事業所得など)と合算し、超過累進税率で所得税額を計算し、配当控除の適用を受けることができます。
また、外国株式の配当金の場合は、配当控除の適用はありませんが、現地で源泉徴収された金額がある場合は外国税額控除の適用があります。
②申告分離課税
上場株式等に係る配当所得は、申告分離課税を選択することができます。
申告分離課税は、他の所得と区分し、一律の税率で課税されます。
ただし、配当控除の適用を受けることができません。
外国株式で上場株式等の配当金の場合で、現地で源泉徴収された金額がある場合は外国税額控除の適用があります。
申告分離課税を選択した配当所得は、日本国内の上場株式等に係る譲渡損失の金額、前年から繰越してきた上場株式等の譲渡損失の繰越控除との通算も可能です。

確定申告しない場合

申告不要
上場株式等に係る配当所得については、確定申告をしないで源泉徴収のみで課税関係が終了する申告不要があります。
一般株式等の配当所得については、1銘柄につき配当金額が10万円(配当等の計算期間が1年の場合)以下の場合のみ申告不要とすることができます。
この申告不要は1回に支払いを受ける配当ごとに選択が可能ですが、源泉徴収口座内配当等については口座ごとに選択することになります。
住民税が源泉徴収されない一般株式等の配当所得については、住民税の申告が必要になります。

申告にあたっての注意点

(1)確定申告すれば、合計所得金額に含まれ申告不要よりも所得の金額が増えます。増えたことによって配偶者控除や扶養控除から外れてしまうことがあるので注意が必要です。
(2)配当所得の収入金額は、手取額でなく源泉徴収税額を差引く前の金額です。
(3)受取っていない配当金でも、本年中に株主総会などで配当決議のあったものなどについては、本年中の配当所得の収入金額になります。
(4)人格のない社団、財団から受ける収益の分配金は、配当所得でなく雑所得になります。生命保険等の契約者配当金、割戻金は課税されず、生命保険料控除等を計算する際に差引きます。
(5)株式の購入や出資のために借入した負債の利子がある場合の配当控除は、配当所得の収入金額でなく配当所得の金額を基に計算します。
(6)所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができます。

配当所得について確定申告を行う場合は、所得税については総合課税、住民税については申告分離課税というように、所得税と住民税について異なる申告方法を採用することができます。通常は確定申告書を提出すると、住民税の確定申告書も提出したものとみなされます。所得税と住民税で異なる申告方法を採用する場合は、住民税の申告書を提出する必要があります。
一般的に課税所得が900万円以下の人は、所得税は総合課税を選択した方が有利となります。また住民税については所得控除等により課税所得がなくなってしまう人などを除き、申告不要が有利となります。