2020/02/18

法人成りのメリット・デメリット(税金以外編)

法人成りのメリット

助成金の数が多い

助成金とは一定の条件を満たすことで必ず支給されるもので、返済の必要がないお金となっています。
大きく分類すると、雇用関係の助成金と、研究開発型の助成金に分かれます。
条件を満たしていれば複数の助成金を利用することが可能です。
助成金は個人事業者でも受けれますが、法人の方がより多くの助成金を受けれるようになっています。

事業承継がしやすい

個人事業では、事業主が死亡し相続が発生すると、個人名義の預金口座が一
時的に凍結されて、支払が困難になるなど事業に支障が生じます。また、相続人が複数いる場合は、事業用資産がすべて事業後継者に相続できるとは限らず、事業用資産が複数の相続人に分散する可能性があり、重要な事業用資産が売却されるなど、事業継続に問題が生ずるリスクもあります。
このような個人事業の問題点に対し、法人化すれば、代表者の死亡により会社の預金口座が凍結されたり、会社の資産が相続の対象となることはありませんので、代表者の死亡により事業がストップしてしまうような事態にはなりません。また、公的な許認可や取引先との取引口座についても、事業主の死亡によって消滅し、再申請をする必要が出てくるケースがあり、事業継続においても大きなリスクになります。
これも法人化することによってリスク回避が可能になります。

取引に有利

一般的に、個人事業主よりも法人のほうが社会的な信用があると言われています。法人は登記簿謄本により、会社の所在地や資本金、役員などの重要事項を確認できるからです。個人事業主は店舗の所在地などを登記する必要がないため、法人に比べると信用度が低くなります。
また、取引先によっては法人としか取引をしないというところもあります。
実務において法人成りするきっかけが、取引先からの要請や販路拡大のためといった理由の個人事業者の方が多いのが実情です。
また、公的許認可の取得要件のひとつが法人でなければならない場合もあり、許可取得のため法人成りするケースもあります。

有限責任

個人事業主は個人であるため、無限責任を負います。無限責任とは、事業に失敗した場合、負債をすべて返済する必要があるということです。
これに対して法人である株式会社や合同会社の場合は、有限責任です。
有限責任だと、倒産などになった場合、出資した範囲内でのみ返済の責任を負います。
つまり法人が倒産などした場合、個人保証をしていない債務(借入金、買掛金、未払給与など)については個人が肩代わりする必要はありません。

融資に有利

銀行などの金融機関から融資を受ける際にも、通常は個人事業主よりも法人の方が融資が受けやすくなります。
融資を受ける際、金融機関から連帯保証人を立てて欲しいと言われることがありますが、個人事業主の場合には、別途連帯保証人になってくれる人を探さなければなりません。
その点、会社であれば、代表取締役個人が連帯保証人になれば、それで認められるケースがほとんどです。

事業売却しやすい

事業売却を個人事業者がする場合、株式というものが存在しないため、個人名義の資産を事業の承継者に名義変更していく必要が出てきてしまいます。
更に細かく権利関係を把握して整理していく必要があります。
これに対して法人が事業売却する場合、法人の株式を売買するだけで完了します。株主が自分から新たな会社オーナーに移ることで会社の支配者が変わるのです。
特に不動産を多く所有している法人の事業売却については所有権登記の変更手続きが不要ですので、登記費用や登録免許税、不動産取得税などのコストも掛からないため、買主側にとってもメリットがあります。

人材確保に有利

労働者側からの観点でいくと、働くのであれば個人事業者の職場よりも法人で勤めたいと考える方が一般的です。
社会保険加入の安心感や労働環境が整備されているなどの印象によるものかもしれませんが、一部の特殊な業種を除き、余程の事情がない限り個人事業の職場に進んで勤めたい方は少ないのが現状です。

社会保険へ加入できる

個人事業の場合、事業主本人や家族は社会保険に加入できませんが、法人成りすることにより社会保険に加入出来るようになります。
社会保険はコストがかかりますが、傷病手当金などの補償や将来受け取る年金額の増加などのメリットも多く、実際に大病をしたり、年金を受給する年齢になった時に社会保険に加入しておけば良かったと後悔される事業主の方が多いことも事実です。

法人成りのデメリット

設立費用がかかる

法人を設立するには、一般的に登記費用・司法書士等への報酬等で約30万円ほど費用が発生します。

手続きや事務負担がかかる

本店を移転や役員変更など登記事由の変更があった場合、その都度法務局へ変更登記する必要があります。その際、登録免許税等の実費がかかりますし、司法書士に依頼すれば費用も掛かります。

社会保険料が増加する

事業主とその家族が法人から役員報酬や一定額以上の給与を得ている場合、健康保険料の負担が世帯単位から個人単位に切り替わるため、国民健康保険に比べて負担額が増加します。
また役員や従業員が負担する社会保険料とおよそ同額を法人が負担することになり、その負担をデメリットと捉え法人成りを止める方もいます。

まとめ 「法人成り」する方が良いのか?

答えは「迷っているのであれば、法人成りした方が良い」です。
現在、法人成りをお考えで税金の申告についても合わせてご依頼されたい方は弊所にてトータルにご支援させて頂きますので、ぜひご相談ください!