2020/01/21

税制改正大綱2020

令和2年度税制改正の大綱の概要

概要としては

持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進及び投資や賃上げを促すための税制上の措置を行う事。
経済社会の構造変化を踏まえ、全てのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制を実現し、NISA(少額投資非課税)制度の見直しを行う事。
国際課税制度の見直しや、所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応、納税環境の整備等を行う事。

となっております。

具体的には、下記項目の税制改正が行われます。

〇 NISA 制度の見直し・延長
〇 エンジェル税制の見直し
〇 低未利用地の活用促進
〇 国立大学法人等に対する個人寄附の促進
○ 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し
○ 国外居住親族に係る扶養控除等の見直し
○ 私的年金等に関する公平な税制のあり方
○ 森林環境譲与税の見直し
○ 所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応
○ オープンイノベーションに係る措置
○ 投資や賃上げを促す措置
○ 5G 導入促進税制
○ 連結納税制度の見直し
○ 地方拠点強化税制の見直し
○ 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の見直し
○ 電気供給業に係る法人事業税の課税方式の見直し
○ たばこ税(国・地方)の見直し
○ 消費税の申告期限の延長
○ 日本酒の輸出拡大に向けた取組み
○ 国際的な租税回避・脱税への対応
○ 電子帳簿保存制度の見直し
○ 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
○ 国外財産調書制度等の見直し
○ 利子税・還付加算金等の割合の引下げ
○ 暫定税率等の適用期限の延長等
○ 国際コンテナ戦略港湾政策に係るとん税及び特別とん税の特例措置の創設

気になる税制改正は?(個人)

今回の税制改正大綱で、個人的に気になった項目をいくつかピックアップします。
まずは個人に関係する項目です。

〇 NISA 制度の見直し・延長
・つみたてNISA が5年延長されます。(2023 年まで20 年の積立期間を確保)

・一般NISA については、一階で積立投資を行っている場合には二階で別枠の非課税投資を可能とする二階建ての制度に見直した上で、5年延長されます。

・ジュニアNISA については、延長せずに2023 年末で終了。

〇 低未利用地の活用促進
・保有期間5年超、上物を含めて譲渡価格500 万円以下等の要件を満たす低未利用地の譲渡所得に100 万円の特別控除が創設されます。

〇 国立大学法人等に対する個人寄附の促進
・国立大学法人等への個人寄附について、その寄附収入がイノベーティブな研究に挑戦する若手研究者への研究費助成事業等に充てられる場合には、税額控除を選択することができるようになります。

○ 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し
・未婚のひとり親に寡婦(夫)控除が適用できるようになります。

・寡婦(夫)控除について、寡婦にも寡夫と同等の所得制限(所得 500 万円(年収678 万円))が設けられます。

○ 国外居住親族に係る扶養控除等の見直し
・所得要件(38 万円未満)が国内源泉所得のみで判定されるため、国外で一定以上の所得がある国外居住親族でも扶養控除の対象にされていますが、令和5年分以後の所得税につき、留学生や障害者、送金関係書類において38 万円以上の送金等が確認できる者を除く30 歳以上70 歳未満の成人については、扶養控除の対象にしないこととなります。(※)個人住民税についても同様。

気になる税制改正は?(法人税、消費税)

続いて、法人税や消費税に関する項目です。

〇 投資や賃上げを促す措置
・収益が拡大しているにもかかわらず、賃上げにも投資にも消極的な大企業に対する研究開発税制などの租税特別措置の適用を停止する措置の設備投資要件について、国内設備投資額が当期の減価償却費総額の3割超(現行:1割超)とされます。

・大企業に対する賃上げ及び投資の促進に係る税制の設備投資要件について、国内設備投資額が当期の減価償却費総額の95%以上(現行:90%以上)とされます。

○ たばこ税(国・地方)の見直し
・紙巻たばこに類似したリトルシガーのような軽量な葉巻たばこについて、紙巻たばこと同等の税負担となるよう、最低税率が設定されます。
 
・たばこ税率の引上げスケジュールにあわせて、一定の経過措置を講じ、最低税率が2段階(令和2年10 月・令和3年10 月)で引き上げられます。

○ 消費税の申告期限の延長
・法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人について、消費税の申告期限を1月延長する特例が創設されます。

令和2年度の税制改正大綱は財務省のホームページに掲載されていますが、101ページに及ぶ長編大作です。
上記に記載した概要であれば4ページ程で取りまとめられているため一度確認をされるといいかもしれませんね。