2020/01/28

令和2年以降の寡婦(寡夫)控除

未婚のひとり親にも寡婦(寡夫)控除適用

まず、現在の寡婦控除、特別の寡婦控除、寡夫控除の控除額と要件を、国税庁発行 令和元年分年末調整のしかた 扶養親族等の内容 より抜粋しましたのでご確認下さい。

【 寡婦控除 (控除額:27万円) 】
所得者本人が次の(1)、(2)のいずれかに該当する人をいいます。
(1)次のいずれかに該当する人で、扶養親族又は生計を一にする子のある人
イ.夫と死別した後、婚姻していない人
ロ.夫と離婚した後、婚姻していない人
ハ.夫の生死の明らかでない人
(2)上記(1)に掲げる人のほか、次のいずれかに該当する人で、合計所得金額が500万円以下の人
イ.夫と死別した後、婚姻していない人
ロ.夫の生死の明らかでない人

【 特別の寡婦控除 (控除額:35万円)】
寡婦のうち、扶養親族である子を有し、かつ、合計所得金額が500万円以下の人をいいます。

【 寡夫控除 (控除額:27万円) 】
所得者本人が次の(1)、(2)又は(3)のいずれかに該当する人で、生計を一にする子があり、かつ、合計所得金額が500万円以下の人をいいます。
(1)妻と死別した後、婚姻していない人
(2)妻と離婚した後、婚姻していない人
(3)妻の生死の明らかでない人

[注意事項]ここで言う「生計を一にする子」には、他の所得者の同一生計配偶者や扶養親族になっていたり、所得金額の合計額が38万円を超えている人は含まれません。

ご確認いただきましたとおり、現在は婚姻した後に寡婦(寡夫)となった方が対象となっていますが、これを改正し、未婚のひとり親にも適用対象を拡げるようです。

平成28年度の厚生労働省の調査によると、ひとり親世帯のうち未婚の母の占める割合は8.7%で、約10万7千世帯と推計されていますので、事実婚状態にある方は除かれそうですが、減税となる方も多いのではないでしょうか。

寡婦(寡夫)控除改正で増税となる方も

併せて寡夫(寡夫)控除の改正についても触れられています。
ここでは3点取り上げます。

①扶養親族又は生計を一にする子のある寡婦の要件に、「合計所得金額が500万円以下の人」を加える。

現在寡婦控除の適用を受けている合計所得金額が500万円超の方は増税となりそうです。

②現行の寡婦控除の特例を廃止する。

③その者と生計を一にする子を有する寡婦に係る寡婦控除及び寡夫控除の控除額を35万円に引き上げる。

①の所得要件追加により、要件が重なる特別の寡婦控除が廃止となりそうですが、控除額は35万円と特別の寡婦の控除額が適用されるため、特別の寡婦控除廃止に伴い増税とはならないようです。

また、寡夫控除額の引き上げにより、寡婦(夫)控除の男女差は一部解消されそうです。

改正の動きを先取り

税制改正大綱とその概要は財務省のホームページにて公開されており、今後のビジネス展開や資産形成の参考になるため、多くの方がチェックしておられます。
まだの方は是非一度ご覧下さい。

財務省トップページ>税制>毎年度の税制改正>税制をめぐる最近の動き
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/trend/sy012y.htm

また、近畿税理士会においても税理士法49条11の建議権に基づいて、税制改正に関する意見書にて意見表明しております。

上述の未婚のひとり親への寡婦(寡夫)控除についても意見表明しておりますし、早生まれの子を持つ方が不利となっている年少扶養親族の扶養控除についても意見表明しております。
よろしければ併せてご覧下さい。

近畿税理士会ホーム>税制に関する意見書
http://www.kinzei.or.jp/research/tax_reform.html