2020/01/15

法人設立から事業開始までの間の税金を節約!?

法人住民税均等割とは

法人住民税とは、都道府県や市町村がその管轄内に事務所等を有する法人等に対して課す地方税の一種で、法人税割と均等割から構成されます。
法人税割は国税である法人税を課税標準として課される一方、均等割は「法人等の規模(資本金等の額及び従業員数)」と「法人等がその事業年度中にその管轄内に事務所等を有していた期間」をベースに課されます。
したがって、その法人等が赤字になり、法人税や法人住民税の法人税割の納税額はゼロでも、均等割は事業を営んでいる限り納税する必要があります。

均等割額の納税額は、次のように計算します。

均等割額=税率(年額)×事務所等を有していた月数(注)÷12ヶ月

(注1)1ヶ月に満たない端数が生じた場合は、その端数を切り捨てます。
(例)3ヶ月と10日間の場合 → 3ヶ月
(注2)月数が1ヶ月に満たない場合は1ヶ月となります。
(例)15日間の場合 → 1ヶ月

なお、均等割額の税率(年額)については、制限はあるものの各自治体の裁量で決定できますので、一律ではありません。以下、関西圏の例です。

(都道府県)
・大阪府 … 年20,000円 ~ 1,600,000円
・兵庫県 … 年22,000円 ~  880,000円
・京都府 … 年20,000円 ~  800,000円

(市町村)
・大阪市 … 年50,000円 ~ 3,000,000円
・神戸市 … 年50,000円 ~ 3,000,000円
・尼崎市 … 年60,000円 ~ 3,600,000円

均等割が課税されない場合

上記において「均等割は事業を営んでいる限り納税する必要があります。」と書きましたが、反対に事業を営んでいない場合、つまり設立から事業開始までの間や休眠会社となっている間は均等割を納める必要はありません。

※自治体によって取扱いが異なりますので(上記理由による均等割の按分を認めない自治体もあるようです)、必ず自治体に事前に確認してくださいね。

例えば、設立から事業開始まで相当期間を要する場合の手続きとして、まず会社を設立したら、管轄の税務署、都道府県税事務所、市町村役場(東京23区を除きます。以下同じ。)に「設立届」を提出します。

その都道府県税事務所と市町村役場に提出する設立届の備考欄に「事業開始予定日とその理由」を記載することで設立=事業開始ではないことを意思表示します。

(例)3月決算法人の介護事業者、令和2年4月1日設立、令和2年7月1日事業開始予定の場合
・設立年月日 … 令和2年4月1日
・事業年度  … 4月1日~3月31日
・備考欄   … 事業開始予定日:令和2年7月1日
理由:介護事業者指定申請のため

これで第1段階が終了です。

事業を開始したとき

次に第2段階です。

事業が開始できたら、設立届を提出した管轄の都道府県税事務所と市町村役場に「再開届」を提出します。
事業開始なのに再開?という感じですが、「設立してすぐ休業状態に入った」というイメージです。

具体的には下記事項を記載した「異動届出書」を提出することとなります。
・異動事項  … 再開
・異動年月日 … 事業を開始した年月日(設立届に記載した事業開始予定日と違っててもOKです。)

これで決算時に法人住民税均等割を、実際に事業を営んでいる期間で案分計算することができます。

自治体によって「事業活動」の基準に違いはありますが、開業初期は何かとお金が出ていくもの。
多少の手間がかかっても少しでも支出を抑えたい!という方はぜひご検討ください。