2020/01/08

所得税確定申告の控除改正

青色申告特別控除を受けるために

青色申告特別控除を利用したい場合は、事業を開始した際に「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出する必要があります。
この2種類の書類を提出することで、その年の所得に対して、青色申告特別控除が受けられるようになります。

【個人事業の開業・廃業等届出書】
開業届のことです。事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。

【所得税の青色申告承認申請書】
青色申告承認申請書は青色申告書による申告を受けようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合は事業開始日から2月以内)が期限となります。
期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。

青色申告特別控除とは

青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

65万円の青色申告特別控除

この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1).不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2).これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3).(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。

10万円の青色申告特別控除

この控除は、上記1の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

青色申告特別控除額が変わります

令和2年分の所得税確定申告から、青色申告特別控除額が65万円から55万円に変わります。
しかし「55万円の青色申告特別控除」の適用要件に加えて下記要件をクリアすれば引き続き65万円の青色申告特別控除を受けられます。

65万円の青色申告特別控除を受けるための要件
令和元年分確定申告まで
(1)正規の簿記の原則で記帳(複式簿記)
(2)申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付
(3)期限内申告
令和2年分確定申告から上記(1)~(3)に加えe-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存

e-Taxによる申告(電子申告)・電子帳簿保存

e-Taxによる申告(電子申告)とは、申告などの国税に関する各種の手続きについて、インターネットを利用して電子的に手続きが行えるシステムです。

e-Taxを利用するには
1.マイナンバーカードを取得
2.マイナンバーカードの読み取りに対応したICカードリーダライタ又はスマートフォンを用意
3.国税局ホームページの「確定申告書等作成コーナー」ヘ確定申告書・青色申告決算書等のデータを作成し、送信。

電子帳簿保存とは、一定要件の下で、帳簿を電子データのままで保存できる制度です。
この制度の適用を受けるには帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに申請書を税務署に提出する必要があります。
また、原則として課税期間の途中から適用することはできませんが、令和2年分に限っては、令和2年9月29日までに承認申請書を提出し、同年中に承認を受けて、同年12月31日までの間に、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備付け及び保存を行うことで、65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存、どちらかを電子的に行えば10万円の所得控除の上乗せができますので、まだ導入されていない方は、どちらかに対応できるように準備しておくと良いでしょう。

基礎控除額が変わります

確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つに基礎控除があります。
基礎控除は、ほかの所得控除のように一定の要件に該当する場合に控除するというものではなく、一律に適用されます。
基礎控除の金額は38万円です。

令和2年分以降の基礎控除については、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなります。
個人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超   0円