2019/11/08

区分記載請求書等保存方式について

区分記載請求書等保存方式とは

仕入税額控除について、現行の請求書等保存方式では、帳簿及び請求書等に下記の事項を記載する事が要件とされています。
【1】帳簿
  ①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  ②課税仕入れを行った年月日
  ③課税仕入れに係る資産又は役務の提供
  ④課税仕入れに係る支払対価の額

【2】請求書等
  ①書類の作成者の氏名又は名称
  ②課税資産の譲渡等を行った年月日
  ③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
  ④課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)
  ⑤書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

区分記載請求書等保存方式では、【1】帳簿の③、【2】請求書等の③及び④の事項に要件が追加されました。
【1】帳簿
★③課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)

【2】請求書等
★③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
★④税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)

「軽減対象資産の譲渡等である旨の記載」はどうすれば良いの?

「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載については、結論から言いますと、「軽減対象資産の譲渡等であることが客観的に明らかであるといえる程度の表示で良い」といわれています。個々の取引ごとに10%や8%の税率が記載されている場合はもちろん、下記の様な場合も「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載があると認められることとなります。

(1)請求書において、軽減税率の対象となる商品に「※」や「★」といった記号等を表示し、かつ、これらの記号等が「軽減対象資産の譲渡等である旨」を別途「※(★)は軽減対象」などど表示し、明らかにしている場合

(2)同一の請求書において、軽減税率の対象となる商品とそれ以外の商品を区別する。そして、前者として区分されたものについて、その全体が軽減税率の対象である事が表示されている場合

(3)軽減税率の対象となる商品に係る請求書とそれ以外の商品に係る請求書を分けて作成する。前者の請求書において、そこに記載された商品が軽減税率の対象であることが表示されている場合

「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載がない場合は?

今回の消費税改正から、軽減税率が適用される取引について仕入税額控除を行うために保存すべき請求書等には、「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」が記載されている必要があります。
しかし、これらの項目の記載がない請求書等を交付された場合であっても、その請求書等の交付を受けた事業者が、その取引の事実に基づいて、これらの項目を追記し、これを保存することで仕入税額控除を行う事が認められます。
そのため、記載事項に瑕疵がある区分記載請求書を受け取った場合でも、その発行先に再発行を求める必要はありません。
なお、当然ですが、追記が認められているのは上記の2つの項目のみであり、他の項目について追記や修正を行う事はできません。

ところで、現行では、例えば3万円未満の取引に係る仕入税額控除については、請求書の保存がなくても法令に規定する事項が記載された帳簿の保存のみで適用することができます。これは、区分記載請求書等保存方式の下出も同様です(帳簿には、これまでの記載事項に加え、「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」を記載する必要があります)。

また、区分記載請求書等保存方式の下でも、免税事業者からの課税仕入れについては、現行と同様に仕入税額控除の適用を受けることができます。
言い換えれば、免税事業者であっても取引先からの要望があれば、区分記載請求書等を発行する必要があります。