2019/11/11

外国人の雇用と税務上の注意点

外国人が日本で働くためには?

外国人が日本国内で働く為には、「在留資格」の取得が必要になります。
在留資格とは、外国人が合法的に日本に滞在するための資格です。
資格は複数種類あり必ずどれか一つの在留資格を持っていなくてはならず、一人で複数の在留資格をもつことは認められません。

例えば、語学教師としての在留許可を得ている外国人が、調理師や会社経営を行う事は出来ません。

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の在留資格を持っている方は、業種が制限されることはなく、日本国内でどのような仕事(風俗営業等の従事を除く)にも就く事が出来ます。

※よく「就労ビザ」という言葉を聞かれると思いますが、厳密にいうと就労ビザという言葉はなく、在留資格=就労ビザという言い方をされている方が多いみたいですね。
違いについては専門的になりますので、ここでは割愛させて頂きます。

雇用時の注意点

雇用主で、外国人を雇用される際の注意点は、

①在留カードの有無(3カ月以上の滞在者には必ず発行)、「在留資格」、「在留期間」の確認
特別永住者を除き、在留カードを持っていない場合は、原則として就労できません。
在留資格、在留期間が就労可能なものかどうかを確認する必要があります。

②在留カード表面の「就労制限の有無」欄の確認
就労不可の記載がある場合は、原則就労することはできませんが、下記③を確認することで就労が可能になることがあります。

③在留カード裏面の「資格外活動許可」欄の確認
表面が就労不可と記載があっても、裏面の資格外活動許可欄にいずれかの記載がある場合は就労が可能となります。
 
ただし、就労時間や就労場所に制限があるので注意して下さい。

・許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く
・許可:資格外活動許可書に記載された範囲内の活動

在留資格外での就労、オーバーステイ等の要件を満たさずに雇用した場合は、不法就労となり雇用主は3年以下の懲役、300万円以下の罰金を科せられる事があり、外国人も入国管理法違反となり強制送還となってしまいます。

外国人を雇用する際は、在留カードの確認をしっかりと行うことが重要となります。
パスポートも確認されておくと、さらに良いでしょう。

雇用後の問題点

外国人の雇用後、税金、保険の問題が出て来るのではないでしょうか。

外国人を雇用した際、給料から源泉所得税は徴収しなければいけないのか?

まず雇用している外国人が、①居住者②非居住者のどちらに該当するかにより異なります。

①居住者
「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。
「住所」は、個人の生活の本拠をいい、生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定することになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
なお、一定の場合には、その人の住所がどこにあるかを判定するため、職業などを基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所とされています。
居住者に該当する場合には、日本人と同様に給与所得の源泉徴収税額表により源泉所得税を徴収し、年末調整により年税額の精算をして課税関係は終了します。

②非居住者
「居住者」以外の個人を「非居住者」といいます。
非居住者に該当する場合には、原則として、20.42%の税率で源泉徴収を行い、課税関係は終了します。
ただし、日本との間で租税条約を締結している国から来ている外国人については、租税条約が適用される場合がありますので、租税条約に関する届出書を提出することにより免税されることがあります。

その外国人の出身国と日本とが、租税条約を結んでいるかを調べる必要があります。

社会保険、雇用保険は加入しなければならない?

次に社会保険・雇用保険の加入問題が出てきます。
各種保険の加入条件に該当すれば、すぐに帰国する場合であっても、加入義務が生じます。
また入社後の職場環境への対応、コミュニケーション等、日本人とは違う問題が多々出てくるものと思います。

外国人雇用に関しては、入管法、労働関係法令、技能実習法、税務的知識などさまざまな法律や知識が必要にはなってきますが、人材不足で困られている経営者の方は一度検討されてみてはいかがでしょうか。