2019/10/17

改正法人税基本通達の保険について

改正通達の適用時期

改正後の法基通の取扱いは、令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料に適用されます。

同日前の契約に遡って改正後の取扱いが適用されることはありません。

また、解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険の保険料については、令和元年10月8日以後の契約に係るものについて、改正後の取扱いが適用されます。

こちらも同日前の契約に遡って改正後の取扱いが適用されることはありません。

※上記のそれぞれの日前の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料については、引き続き、改正前の法基通又は廃止前の各個別通達の取扱いによることになります。

定期保険及び第三分野保険

まず、第三分野保険とは?

第一分野保険(生命保険)終身保険、定期保険、養老保険など
第二分野保険(損害保険)火災保険、自動車保険など
第三分野保険(医療保険)がん保険、介護保険など

改正後の定期保険及び第三分野保険の保険料に関する取扱いは統一されており、定期保険及び第三分野保険の保険料で30万円以下は損金計上が認められます。

「保険期間を通じて解約返戻金のない定期保険又は第三者分野保険(ごく少額の払戻金の契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より 短いもの)に加入した場合において、当該事業年度に支払った保険料の額が30万円以下のものについて、その支払日の属する事業年度の損金算入が認められます。(法基通9-3-5注2)

また、①最高解約返戻率50%以下のもの又は②保険期間が3年未満、最高解約返戻率が50%超70%以下で、かつ、年間保険料相当額が30万円以下のものについても損金計上が認められます。

まとめ

解約返戻率が50%超の定期保険及び第三分野保険の取扱いです。

1.最高解約返戻率が50%超70%以下の場合
(年間保険料相当額が30万円超)

資産計上期間・・・保険期間当初40%相当の期間

資産計上額・・・・年間の支払保険料×40%

資産の取崩し・・・保険期間の75/100相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで

2.最高解約返戻率が70%超85%以下の場合 

資産計上期間・・・保険期間当初40%相当の期間

資産計上額・・・・年間の支払保険料×60%

資産の取崩し・・・保険期間の75/100相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで

3.最高解約返戻率が85%超の場合
 
資産計上期間・・・保険期間開始日から解約返戻率が最高となる期間となる期間の終了日

ただし、「その期間経過後において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料で除した割合が70/100を超える場合は、その超えることとなる最も遅い期間」としている。

(当期の解約返戻金-前期の解約返戻金)÷年換算保険料>70%

※ 年換算保険料=保険料の総額÷保険期間

資産計上額・・・・年間支払保険料×最高解約返戻率×70%
(保険期間開始日から10年経過日までの期間は90%)

資産の取崩し・・・解約返戻金が最も高くなった期間経過後から、保険期間の終了 の日まで

かなり細かく規定されていますね。

今回の改正で節税を目的にした保険加入は減少すると思われます。
1/2損金の養老保険は維持されており、今後また注目されそうです。