2019/10/05

役員にボーナスを支給しよう!

役員にボーナスを出す方法は?

事前確定届出給与であれば、役員にボーナスを支給する事が可能です。
事前確定届出給与とは、簡単に言うと、下記の要件を満たすボーナスです。

①事前にボーナスの金額を決める。
②事前に支給する日を決める。
③上記の内容を、事前に所轄の税務署に届出書を提出。

この際の注意点としては、
事前に届出書を提出とありますが、いつなのか、という点です。
基本的には、決算が終わり、株主総会を開催します。
その株主総会で役員に支給するボーナスの金額、支給日を決定します。
そして、株主総会の日から1か月以内に、上記で決定した内容を税務署に提出する事になります。
(期首から4か月以内という規定もありますが、中小企業であれば、基本的に株主総会の日から1か月以内の方が早く到来するので、割愛しています)

もう一点の注意点としては、
上記で決定した支給日・支給額については、変更する事ができない点です。
支給日については、1日でも前後する事はできませんし、支給額については、1円でも変更する事はできません
届出書通りに支給する必要があります
もし、届出書通りに支給しない場合には、そのボーナスの全額が損金(税務上の経費の事:以下経費)になりません
経費にならない場合でも、社会保険料の負担や源泉所得税の負担は生じますので、かなりの損害になることに注意が必要です

事前確定届出給与のQ&A

Q:届出書を提出したあと、取締役から代表取締役に昇進した場合。
A:この場合、当初の届出書に提出した金額が不適当であり、変更が必要なケースもあるかと思います。
この場合には、その変更が生じた日から1か月を経過する日までに改めて「事前確定届出給与に関する変更届出」を提出することで、変更後の支給額も経費とする事ができると考えられます。

Q:届出書に記載した金額(①当期中に支給分、②翌期中に支給分の2回分)と違う金額を支給した場合。
A:原則として届出書と違う金額を支給した場合には、その全額が経費になりません。
ただし、①については、届出書に記載した金額を支給し、②についてのみ、届出書と違う金額を支給したというケースにおいては、国税庁の質疑応答事例にあるように、「当期中は定めどおりに支給したものの、翌事業年度において定めどおりに支給しなかった場合は、その支給しなかったことにより当期の課税所得に影響を与えるようなものではないことから、翌事業年度に支給した給与の額のみについて損金不算入と取り扱っても差し支えないものと考えられます。」とあることから、②のボーナスのみが経費にならないと考えられます。

Q:事前確定届出給与を支給するために、届出書を提出しました。
その後資金繰りが悪化し、ボーナスを支給する事ができない状況になりました。この場合には、どうなりますか?
A:届出書に記載した金額以外の金額であれば、その支給した金額の全額が経費になりません。
今回のケースでは、支給した金額がゼロ円ですので、もともと経費になっておりません。
支給額がゼロ円である以上、経費にならない金額も発生しませんので、特に何もありません。
しかし下記の注意が必要です。
支給しなかった場合においても、役員にはこのボーナスの請求権が発生しますので、源泉所得税がかかる可能性があります。
ボーナスがないのに源泉所得税がかかるというおそろしい事になりますので、支給しない場合には「役員給与辞退届出書」を役員さんに記載してもらってください。
また、辞退があった旨の議事録も必要になってきます。

Q:新規に設立した法人の場合、事前確定届出給与を支給することは可能ですか?
A:新設法人に係る届出書の提出期限は、設立の日以後2か月を経過する日までに届出書を提出すれば、ボーナスの支給が可能となります。

※上記のQ&Aはあくまで一般的なケースを想定しており、個別的な判断につきましては、顧問税理士にご相談ください。

事前確定届出給与のまとめ

ボーナスはモチベーションアップの一つの方法です。
それは従業員さんであっても役員さんであっても同じだと思います。
しかし、役員にボーナスを支給する事はできない、と思っておられる方もいらっしゃいます。
事前に届出書を提出したり、支給日や支給額を事前に決定し、順守しなければならない点において、従業員さんのボーナスに比べ、手間がかかります。
しかし、その手間を考えても支給するメリットがあると判断されるのであれば、検討されるのが良いかと思います。
繰り返しになりますが、届出書は提出期限内に提出し、届出書の記載通りに実行しないと経費になりませんので、その点ご注意ください