2019/11/20

生前贈与のポイント

連年贈与と定期金に関する権利

毎年贈与を繰り返すことを連年贈与といいます。
単純に110 万円の現金を10 年間贈与し続けたら1,100 万円の財産を無税で移動することができるわけです。

<注意点!>
このような場合、課税当局は「毎年110 万円ずつ10 年間贈与する契約が成り立っており、最初の贈与があった時点に、定期金に関する権利の贈与があった。」という、こじつけのような言いがかりで税金をかけてくる可能性があると、いろいろな書物などで書かれています。

これを検証すると贈与税の時効は6 年です。無申告の場合は2 年延長されます。従って、8年と言うことになり10 年前までは遡れない。
では時効の有効な8 年前に遡って880 万円分の定期金に関する権利として課税するかということになります。

しかし、定期金に関する権利というものはあらかじめ期限付き又は無期限で一定の契約に基づき金銭を給付し続けることを約束しているものをいいますから、最初に何年貰うとか、ずっと貰い続ける約束になっているという弁を述べない限り定期金に関する権利に該当しないと主張ができます。

<ポイント!>
さらに、定期金に関する権利としてのつまらない疑いを避けるため、
(1)贈与の日付をかえる。
(2)贈与財産を現金に限らず他の財産にかえる。
(3)毎年の金額をかえる。たまには、あえて110 万円を少々オーバーしてごく僅かの税金を申告納税する。
など、毎年の贈与を一連のものとは違うといった意思表⽰をしましょう。

贈与と借名預金

贈与は、名義を変えただけでは成立しません。※ 1

お互いの合意の上で行われ、贈与を受けた側はその受けた財産を自分の管理のもと自由に処分できる状態になくてはなりません。

よく、子供や孫の名義の通帳⼝座を開設して、これに金銭を振り込んで贈与をしたつもりになっている人がいると思いますがこれは贈与ではなく、借名預金、つまり子供や孫の名義を借りて自⼰が金銭を預け入れただけの結果となってしまいます。

<ポイント!>
贈与をしたというのであれば、振り込んだ通帳やその通帳の銀行印は贈与を受けた子供や孫が所有し、いつでも自由に使えるようにしておかねばならないということです。

また、今にも危ない状況の被相続人が生前贈与の契約を結び相続直前で財産を減らす行為は非常にその真偽を疑われる事になります。贈与は双方の意思のもとに行われる取引ですので「本当に被相続人の意思によって行われたのか?」「相続人達の勝手な手続きにより行われていないか?」と疑われる可能性があるわけです。

<注意点!>
また、相続などにより財産をもらった人が、被相続人から、その死亡前3 年以内に贈与を受けた財産があるときには、贈与を受けた財産の贈与時の価額で贈与を受けている人の相続税の課税価格に加算することになっています。

やはり、前もって計画的に進めていくべきですね。
※ 1
一行⽬で『名義を変えただけでは贈与となりません』と書きましたが、不動産登記については名義を変えただけで贈与とされることが一般的です。
税務署は、あるときはこちら側から、あるときは反対側から、常に税金を徴収できる側からの正論を突きつけてきますので財産の名義書換には慎重な判断が必要です!