2019/09/23

建設資金がなくても節税できる!

建設協力金方式による相続対策で節税!

(1)建設協力金方式とは

① 土地所有者が希望者から『建設協力金』という名⽬で建設代金を無利息(契約によっては利息が付される場合もあり)で借入し、土地に希望者のための建物を建設します。
② 土地所有者は、建物を希望者に貸付けます。「建築協力金」は、「預り保証金」となります。
③ 所有者は、希望者から月々賃料の支払いを受けます。また、契約により同時に分割で家賃の中から「預かり保証金」を返済します。

(2)相続対策としての建設協力金方式による建物建築

① 土地は、自用地評価から貸家建付地となり評価額が下がります
② また建築建物は、貸家となり評価額は下がります
③ 『預かり保証金』は、負債となり相続財産からマイナスできます

(3)メリット

① 建設資金を自分で調達する必要が無い。
② 無利息の契約の場合には、金利分の返済が軽減される。
③ テナントを探す必要が無い。

(4)税務上のメリット

① 自用地評価額と貸家建付地の評価差額および貸家評価額と『預かり保証金』の差額が相
続税の節税になる。
② 将来的に価値が減少する建物を所有することになり相続税の節税になる。

(5)デメリット

① 建設会社主体の条件となり建設費が割高になりやすい。
② 建物が賃借人仕様のため転用がしにくい。
③ 賃借人が中途撤退しても原則として建設協力金の返済義務は残る。契約内容によって返済義務がなくなったとしても、その金額が不動産所得として所得税の課税を受ける(臨時所得として五分五乗方式による税金計算を適用)。

等価交換方式(立体買換)による節税対策

先に述べた建設協力金方式と同じく自⼰資金無しで貸家を建築する方法に等価交換方式という手法もあります。

(1)等価交換方式(立体買換え)とは

① 土地所有者が開発業者(ディベロッパー)に土地を提供し、両者で計画をたて、その土地の上に開発業者所有の賃貸建物を建築します。
② 土地所有者は、賃貸建物の一部を自⼰所有の敷地の持分との交換により取得します。
③ 敷地の持分の時価と交換により取得する建物の時価が同等の価値なので等価交換方式といいます。

通常の場合、土地を建物と交換した時点で土地の譲渡があったものとみなされ、譲渡益が発生した場合には譲渡所得税の課税対象となります。
しかし、この立体買換えは一定の要件を満たせば譲渡所得の買換えの特例を適用することによって課税の繰延べが可能で、実質的に税金はかかりません。

(2)既成市街地等内の事業用資産の立体買換え

既成市街地等※内にある事業用資産を等価交換方式で交換(買換え)をすると譲渡所得の買換えの特例を適用することができます。
※⾸都圏整備法第⼆条第三項に規定する既成市街地若しくは近畿圏整備法第⼆条第三項に規定する既成都市区域、又は前記に掲げた区域に類するものとして政令で定める区域

① 地上4 階建て以上(床⾯積5 分の3 以上が居住用である場合は3 階建て以上)
② 耐火建築物
③ 事業用の建築⾯積150 ㎡以上であること
※ 譲渡益の80% が課税の繰延べ処理できます。

(3)既成市街化等及びこれに準ずる区域※内での中高層建築物の買換えの特例

個人が所有している既成市街化区域等内にある土地に次のような建物を建築し交換(買換え)すると譲渡所得の買換えの特例を適用することができます。

① 地上4 階建て以上(床⾯積2 分の1 以上が居住用の場合は3 階建て以上)
② 耐火建築物
③ 交換で取得した後は、1 年以内に居住用(マイホーム)または事業用に使うことまたは使う見込みであること。
※正式名称ではないかもしれませんが、便宜上「既成市街地等」と都市計画法第四条第一項に規定する都市計画に都市再開発法第⼆条の三第一項及び第⼆項に掲げる地区として定められた地区その他これに類する地区として政令で定める地区を加えたものとします。
※譲渡益の100% が課税の繰延べ処理できます。
④ 既成市街化区域等内にあることを証する市町村長の書類を確定申告書に添付

(4)一般的なメリット

① 建設資金を自分で調達する必要が無い。
② 借入金を負わないので利息の負担が無い。
③ ディベロッパーのノウハウを活用できる。
④ 譲渡所得税課税の繰延べ措置の特例を利用できる。

(5)税務上のメリット

① 自用地評価額と貸家建付地および貸家との評価差額が相続税の節税になる。
② 将来的に価値が減少する建物を所有することになり相続税の節税になる。

(6)デメリット

① 資産価値のある土地が単独所有から共有になる。
② ディベロッパー主体の開発になりかねない。
③ 土地の所有分が減少し、建物を新たに取得する事になるので建物の維持管理の業務が必要となる。将来的には修繕費の支出も発生する。
④ 建物の財産価値は時の経過に伴い減少する。(逆に税務上のメリットになります。)