2019/09/19

非上場株式の相続税の納税猶予

非上場の株式等を後継者に相続する場合、納付する相続税のうち、株式等の課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。

納税猶予の特例を受ける要件

(1)会社の主な要件
次の要件を満たしていること。
① 上場会社でないこと。
② 中小企業基本法に規定する「中小企業者」であること。
③ ⾵俗営業会社でないこと。
④ 資産管理会社(有価証券や投資不動産等が総資産の簿価の7 割以上の会社等)でないこと。
⑤ 総収入金額が零の会社、従業員数が零の会社でないこと。

(2)後継者である相続人等の主な要件(後継者は1 社につき1 人です)
① 相続開始から5 ヶ月後において会社の代表者であること。
② 先代経営者(被相続人)の親族であること。
③ 相続開始の時において、後継者及び後継者と同族関係等がある者で総議決権数の50% 超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること。

(3)先代経営者である被相続人の主な要件
① 会社の代表者であったこと。
② 相続開始直前において、被相続人及び被相続人と同族関係等のある者で総議決権数の50% 超の議決権数を保有し、かつ 後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと。

(4)担保提供
この適用を受けるためには、相続税の申告期限までに納税が猶予される相続税額 及び 利子税の額に見合う担保を、税務署に提供する必要があります。
この場合に担保として提供できる財産は次のとおりです。
① 納税猶予の対象となる認定承継会社の特例非上場株式等(非上場株式又は持分会社の持分)
(注)特例非上場株式等の全部を担保提供する場合に限ります。この場合には、非上場株式に譲渡制限が付されているものであっても、担保として提供できる財産として取り扱います。
② 不動産、国債・地方債、税務署長が確実と認める有価証券、税務署長が確実と認める保証人の保証など

特例の対象となる非上場株式等の数

この特例の対象となる非上場株式数には上限が定められており、相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、発行済議決権株式等の総数の3 分の2 に達するまでの部分が対象になります。

申告後の注意点

(1)納税猶予されている相続税を納付する必要がある場合
次に該当する場合は、納税が猶予されている相続税を納付する必要があります
非上場株式の相続税の納税猶予
A 納税が猶予されている相続税全額と利子税を納付する
B 納税が猶予されている相続税のうち譲渡等した部分に対応する相続税と利子税を納付する
C 相続税の納付することなく引き続き納税が猶予される

この他にも、この特例の適用を継続して受ける旨や会社の経営に関する事項などを記載した『継続届出書』を、相続税の申告期限後5 年間は毎年、5 年経過後は3 年ごとに税務署へ提出します。

継続届出書の提出がないと、猶予税額等を納付する必要があります。

(2)納税猶予されていた相続税が免除される場合
下記のいずれかに該当する場合には『免除届出書』を提出することにより、猶予税額の全部又は一部が免除されます
① 後継者が死亡した場合
② 会社が破産又は特別精算した場合
③ 対象株式の時価が猶予税額を下回る中、当該株式の譲渡を行った場合
(ただし、時価を超える猶予税額のみ免除)
④ 次の後継者に対象株式を一括贈与した場合