2019/08/21

税納付のペナルティ(延滞税・加算税)

加算税の種類、税率

加算税には過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4種類があり、各加算税の内容と税率は以下の通りです。
なお、各税目に対する加算税が5,000円未満の場合には納税義務がありません。 (切捨てとなります)

過少申告加算税

名前の通り申告書に記載された納税額が過少であった場合に課される税金です。
期限内申告書提出後に修正申告書を提出した場合に発生しますが、
下記の区分により税率は違ってきます。

①法定申告期限等の翌日から調査通知前、かつ更正等予知前までに修正申告書が提出された場合には対象外となります。

②調査通知以後から調査による更正等予知前までに修正申告書が提出された場合には5%。ただし、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分には10%

③調査による更正等予知以後に修正申告書が提出された場合には10%ただし、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分には15% 

ここで言う調査通知とは「実地の調査を行う旨」、「調査の対象となる税目」、「調査の対象となる期間」の通知をいいます。また、更正等予知についてはざっくり言うと税務調査中等に更正内容を把握することを言います。

無申告加算税

申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課される税金です。
過少申告加算税と同じく下記の区分により税率は違ってきます。

①法定申告期限等の翌日から調査通知前、かつ更正等予知前までに修正申告書が提出された場合には5%

②調査通知以後から調査による更正等予知前までに修正申告書が提出された場合には10%。ただし、50万円を超える部分には15%

③調査による更正等予知以後に修正申告書が提出された場合には15%。ただし、50万円を超える部分には20%

④期限後申告等があった場合にその日の前日から5年前までの日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(調査による更正又は決定の予知後に課されたものに限る)又は重加算税を課された場合には、上記の税率にさらに10%を加算

不納付加算税

源泉徴収した所得税等を納期限まで納付しなかった場合に課される税金です。
こちらも下記の区分により税率は違ってきます。

①税務調査等により告知があった場合には10%

②告知があるべきことを予知してされたものでないときは5%(税務署からの電話連絡など)

なお、法定納期限から1ヶ月を経過する日までに納付し、納期限の前月末日から1年前までの間に「納税の告知を受けたことがない」かつ「遅れて納付したことがない」場合には不納付加算税は課さない規定もあります。

重加算税

上記までの加算税が課される場合において、納税者が事実の全部又は一部を仮装・隠ぺいし、その仮装・隠ぺいしたところに基づいてその国税を法定納期限までに納付しなかった場合に各加算税に代えて課される税金です。
下記の区分により税率は違ってきます。

①過少申告加算税又は不納付加算税に代えて課される(又は徴収される)ものについては35%

②無申告加算税に代えて課されるものについては40%

③上記①、②のうち期限後申告等があった場合にその日の前日から5年前までの日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(調査による更正又は決定の予知後に課されたものに限る)又は重加算税を課された場合には、上記の税率にさらに10%を加算

延滞税の税率、計算期間、具体例

延滞税は各種税金が納期限までに納付されない場合又は期限後申告、修正申告書を提出した場合、更正又は決定の処分を受けた場合で納付しなければならない税額があるときに課される税金です。
法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課されることから利息に相当する税金と言えます。
(本税に対してのみ課されます。なお、計算結果が1,000円未満の場合は納付義務がありません)

延滞税の税率

①法定納期限の翌日から2月を経過する日まで
  
原則として年7.3%です。ただし、平成26年1月1日以後の期間は年7.3%と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。

ちなみに平成30年1月1日から令和元年12月31日までの期間の割合は年2.6%です。特例基準割合の説明については今回割愛させて頂きます。

※修正申告書を提出した場合、当該申告書に係る税額の法定納期限は修正申告書の提出日となることから、修正申告書提出日の翌日から2月を経過する日までの期間は①の割合が適用されます。

②法定納期限の翌日から2月を経過した日以後

原則として年14.6%です。ただし、平成26年1月1日以後の期間は年14.6%と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。

ちなみに平成30年1月1日から令和元年12月31日までの期間の割合は年8.9%です。

計算期間

上記概要で説明しましたが、延滞税の対象期間は原則法定納期限の翌日から納付日までとなります。
ただし、重加算税の対象とならなかった税目で下記の場合には「法定申告期限後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間(又は更正通知書を発した日までの期間)」を延滞税の計算期間に含めない特例があります。

①期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき。
 
②期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき。

③確定申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告又は更正があったとき
 (平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税について適用)

具体例

平成30年1月期決算(3月申告)に関する修正申告、納付を平成31年4月末に行ったものとして計算期間、割合を見ていきます。
この場合法定申告期限は平成30年3月末、修正申告税額の法定納期限は平成31年4月末となります。

①重加算税の対象となった税目
平成30年4月~平成31年4月末までの期間について年2.6%の延滞税が発生します。

②重加算税の対象とならなかった税目
上記①の期間のうち「法定申告期限後1年を経過する日の翌日から修正
申告書を提出した日までの期間」、つまり平成31年4月から4月末までの1ヶ月間が計算期間から除外されます。
したがって平成30年4月~平成31年3月末までの期間について年2.6%の延滞税が発生します。   

重加算税を課されてしまうと延滞税についてもさらにペナルティが発生してしまうため、仮装隠蔽と見られる行為は避けて出来るだけ回避したいところです。