2019/07/16

源泉所得税の納税の方法

納期限の特例とは

源泉所得税の納税の方法は毎月翌月10日に納める方法と、年二回に分けて半年分ずつまとめて納税する方法の二通りがあります。
後者を納期限の特例と呼びます。

特例適用の場合には納付期限は、
•1月から6月までに源泉徴収した所得税等・・・7月10日
•7月から12月までに源泉徴収した所得税等・・・翌年1月20日

納税者は月々の納税の事務処理が軽減されるメリットがあります。
かつ、徴収された所得税は資金繰りとして運用することが可能になります。
但し、逆に納付月にはその納税が高額(6ケ月分)になり負担が大きくデメリットになります。

源泉所得税の未納については1日でも納付期限を過ぎてしまうと下記のパーセンテージで不納付加算税が課されてしまいます。
しかし、計算された不納付加算税の金額が5千円未満となるときは不納付加算税はかかりません。納期特例で半年分まとめた金額である納期の特例適用の場合には5千円を超える可能性が大きいので期限を過ぎないように注意が必要です。

・税務署からの指摘で納付する場合・・・ 納付すべき源泉所得税額の10%
・自主的に納付する場合・・・ 納付すべき源泉所得税額の5%

納期限の特例を受けるためには

納期限の特例の適用を受けることができる源泉徴収義務者は給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者で滞納や著しい納付遅延がないこととされています。
間違え易いのですが常時10人未満の人数にはアルバイトも含みます。

上記の納税義務者が納期限の特例の適用を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署に提出する必要がありますが、原則として申請書を提出した月の翌月末日に、承認があったものとみなされ、承認を受けた月の源泉所得税から納期の特例の適用を受けることができます。

仮に2月に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出した場合には2月分に関わる源泉所得税の納期限は3月10日となり、3月分から6月分に関わる源泉所得税の納期限が7月10日となります。

会社を設立した場合には注意が必要です。設立月から給与を支払っている場合に設立後すみやかに「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出していたとしても設立月の給与の源泉所得税については納期の特例を適用することができません。
設立月は納期の特例の適用を受ける前となり原則どおり翌月10日までの納税となります。納税を忘れると不納付加算税が課される可能性があります。

納期の特例の要件に該当しなくなったら

給与の支給人員が常時10人未満でなくなった場合は、納期の特例の要件に該当しなくなります。この時には、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。
これは特例の要件に該当しなくなった時に、速やかに提出する必要があります。
該当しなくなった場合の源泉所得税は、該当しなくなった届出書を提出した月以前の分までは、その翌月の10日に納付し、その後は毎月分を翌月10日までに納付することになります。

税務調査があった場合には事業者の所得税や法人税のみならず源泉徴収税額についても調べられます。その際に納期限の特例を適用しており、かつ、過去に10人未満の要件を満たしていないことが判明した場合には、直前の納税後に発生する各月の源泉所得税については不納付加算税と延滞税が課される可能性がありますので要件に該当しなくなった場合には要注意です。
給与の支払い状況を今一度確認してみてくださいね。