2019/07/02

同族会社への貸付金を株式に換えて節税【相続税】

社長からの貸付金をそのままにしておくと…

同族会社を経営している場合、会社には経営者からの借入金が多額に計上されている場合をよくみかけます。
これは、経営者側から言えば貸付金であり、預金と同じようにそのままの金額で相続税が課税されてしまう財産となります。

中小企業の社長は、会社の資金繰りが悪い場合には社長個人が用立てをしたり、役員報酬を未払いとしたりして会社経営を助けているのが現状だと思います。
しかし、この社長からの借入金や社長への未払金は、社長個人側からすれば相続税のかかる貸付金や未収入金という財産となってしまいます。

将来、事業が好転して会社に返済余裕が出来れば問題ないのですが、長い年月で累積してきた金額で、これを返済するのは不可能な場合が多いと思います。返してもらえないかもしれない貸付金について相続税が課税されるのも納得の出来ない話です。

貸付金を株に換えよう!

このような場合には、会社に対する貸付金や未収入金を資本金として増資してしまう手法により、貸付金や未収入金という債権を株式に換えてしまうことが出来ます。

貸付金や未収入金はそのままの金額で評価されますが、株式は評価の方法が異なります。通常このように社長が会社の資金繰りを援助しなければならない場合には会社の株式の価額は0円となったり、大幅に金額が低くなったりするものです。
この手法により何千万円の貸付金を評価0 円の株式としてしまうことも可能となります。

<注意点!>
ただし、増資による株主間の贈与税の問題、増資による法人の均等割り税額の増額など注意すべき事項もあります。また最近ではこのような貸付金(会社にとっては借入金)を額面どおりには資本に組入れできず、資本に組入れられない時価との差額を債務免除益とする考え方も出てきています。実施の際には必ず専門家と相談の上処理を⾏ってください。