2019/04/02

リノベーションの住宅ローン控除

中古住宅の購入で住宅ローン控除を受けるための重要ポイント

住宅ローン控除を受けることが出来る中古住宅の家屋の要件は、次のいずれかを満たすものです。(新築購入の場合と異なる部分のみ)

イ 取得の日以前25年以内に建築された耐火建築物の家屋
ロ 取得の日以前20年以内に建築された耐火建築物以外の家屋
ハ 耐震基準に適合するもの
ニ イ~ハに該当しない要耐震改修住宅で、耐震改修工事を行ったもの

「耐火建築物」とは、建物登記簿に記載された家屋の構造のうち、建物の主たる部分の構成材料が鉄骨造(軽量鉄骨造を除く)、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、石造、れんが造、コンクリートブロック造のものをいいます。

従って、鉄骨や鉄筋コンクリート造等であれば築25年以内(上記イ)、木造であれば築20年以内(上記ロ)の建物の場合に、住宅ローン控除を受けることができます。

築年数の古い住宅で住宅ローン控除を受けるには

築25年を超えた鉄骨造のマンションや、築20年を超えた木造住宅を購入した場合は、住宅ローン控除が受けられないと思われるかもしれません。
しかし、一定の耐震基準を満たしている家屋であれば、住宅ローン控除を受けることができます。

中古住宅の家屋の要件(再掲)
イ 取得の日以前25年以内に建築された耐火建築物の家屋
ロ 取得の日以前20年以内に建築された耐火建築物以外の家屋
ハ 耐震基準に適合するもの
ニ イ~ハに該当しない要耐震改修住宅で、耐震改修工事を行ったもの

上記のうち、ハ又はニに該当していれば、築年数にかかわらず、住宅ローン控除を受けることができます。

上記ハの「耐震基準に適合するもの」とは、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する建物として、家屋の取得の日前2年以内に、次のいずれかに該当したものです。
1 耐震基準適合証明書による証明のための家屋の調査が終了したもの
2 住宅性能評価書により耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2又は等級3であると評価されたもの
3 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されているもの

上記ニの「要耐震改修住宅で、耐震改修工事を行ったもの」とは、耐震基準に適合しない家屋を取得する場合において、取得(引渡し)の日までに耐震改修を行うことについて申請等を行い、居住の日までに耐震改修により耐震基準に適合することになった家屋で、次の書類などにより証明がされたものです。
1 建築物の耐震改修計画の認定申請書の写し及び耐震基準適合証明書
2 耐震基準適合証明申請書の写し及び耐震基準適合証明書
3 建設住宅性能評価申請書の写し及び建設住宅性能評価証明書の写し
4 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書の写し及び
既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類

※この改修工事は、売主又は買主いずれが行った場合でも該当します。売主側が引渡しの日までに工事を完了してくれていればOKですが、買主側が工事を行う場合には、取得、申請、工事、居住の順序を誤ると住宅ローン控除を受けることができなくなります。その詳細なスケジュールや手続きについては工務店等にお尋ねください。

住宅ローン控除の適用にあたり、耐震基準に適合しているか否かの判断は、上記の証明書類の有無によってなされます。
この証明書類は、建築士や指定確認検査機関、国交省の登録を受けた第三者機関に依頼してもらうことができます。

また「既存住宅売買瑕疵担保責任保険」とは、中古住宅の検査と保障がセットになった保険制度です。この保険は売主が加入します。
加入するためには現行の耐震基準に適合していなければ加入ができないため、保険に加入すると耐震証明書を得たものと同等の扱いになります。

つまり、築年数が古かろうと、耐震構造がしっかりしている家屋であれば住宅ローン控除を受けることができます。

リノベーション費用の住宅ローン控除を受けるには

ところで、住宅ローン控除は、住宅を新築する又は中古住宅を購入する場合に限らず、「住宅の増改築等」をした場合にも受けることはご存じでしょうか。

そこで、最近増加している「中古住宅購入+リノベーション」の場合に住宅ローン控除を受けることができるか、を確認してみましょう。

この場合、中古住宅の購入と、リノベーションとの2つに分けて、それぞれで控除の可否を判定する必要があります。

つまり、その中古住宅が住宅ローン控除が受けられる家屋の要件(築年数や耐震基準要件等)に該当しているか否か、及び、リノベーション費用が「住宅の増改築等」に該当するか否か、に分けて判定します。

この「住宅の増改築等」に該当するための要件は、下記の5点すべてを満たす場合です。
① 工事費(補助金等を控除した金額)が100万円を超えるもの
② 工事費のうち居住用部分の工事費が2分の1以上であること
③ 一定の増改築等で証明がなされたもの
④ 増改築後の家屋の床面積が50㎡以上であること
⑤ 増改築後の床面積の2分の1以上が居住用であること

上記③の「一定の増改築等」とは、増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕や、バリアフリー工事、耐震工事などの改修工事をいいます。
この一定の増改築等に該当している場合には、その証明書類として「増改築等工事証明書」(又は建築確認済証、検査済証)を建築士等より受け取ることができます。

従って、購入した中古住宅が住宅ローン控除対象家屋の要件を満たし、かつ、リノベーション費用が住宅の増改築等の要件を満たす場合には、いずれの費用についても住宅ローン控除を受けることができます。

この場合には、確定申告書に添付する住宅借入金等特別控除額の計算明細書として、中古住宅の購入分と増改築等分の2枚を提出します。
ただし控除限度額は、どちらかの控除限度額のうち高いほうの控除限度額が限度となります。

最近では、こうしたニーズに対応するため、一部の金融機関では、中古住宅の購入費用にリノベーション費用を含めた、一体型(セット)の住宅ローンプランが設けられているようです。
このようなプランでは、別々のローンであった中古住宅の購入費用とリノベーション費用を一体にすることで、リノベーション費用についても住宅ローンと同水準の金利で融資を受けることができるようです。
マイホームをお考えの際には、選択肢の1つとして検討することも良いかもしれませんね。