2019/03/12

不動産の長期譲渡で節税

不動産の譲渡

土地や建物を売ったときは、事業所得や給与所得などの総合課税となる所得とは分けて、分離課税となる所得として計算することになっています。
土地や建物を売ったときの所得を譲渡所得といい、土地や建物の譲渡金額からその資産の取得にかかった費用とその譲渡のために要した費用を差し引いて計算します。
なお譲渡所得には所有期間によって長期譲渡所得短期譲渡所得の⼆つに区分され、税金の計算も別々に行うことになります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得

長期譲渡所得とは譲渡した年の1 月1 日において所有期間が5 年を超えるものをいいます。
短期譲渡所得とは譲渡した年の1 月1 日において所有期間が5 年以下のものをいいます。
例えば、平成25年1 月10 日に購入した土地の譲渡が長期譲渡所得となるのは、平成30 年1 月10 日以降ではなく、平成31 年1 月1 日以後からであり、平成30 年12 月31 日以前の譲渡は短期譲渡所得となります。

(1)長期譲渡所得

課税長期譲渡所得金額 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費⽤)-特別控除※ 1
税額 = 課税長期譲渡所得金額 × 20%(所得税15%、住民税5%)

(2)短期譲渡所得

課税短期譲渡所得金額 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費⽤)-特別控除※ 1
税額 = 課税短期譲渡所得金額 × 39%(所得税30% 住民税9%)

※ 1 上記算式中の特別控除には次のようなものがあります。
(1)公共事業などのために土地建物を売った場合の 5,000 万円の特別控除の特例
(2)マイホーム(居住用財産)を売った場合の 3,000 万円の特別控除の特例
(3)特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の 2,000 万円の特別控除の特例
(4)特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の 1,500 万円の特別控除の特例
(5)平成 21 年及び平成 22 年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の 1,000 万円の特別控除の特例
(6)農地保有の合理化などのために土地を売った場合の 800 万円の特別控除の特例

<ポイント!>
長期と短期では税率が 19% も違います。もし、あと僅かで 5 年超の長期譲渡にあたるという場合には、譲渡前に一度タイミングを検討されてはどうでしょうか。

取得費・譲渡費用

取得費には、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。なお、建物の取得費は、購入代金⼜は建築代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。(非業務用資産の償却費は耐用年数を通常より 1.5倍して計算します。)
取得費が不明の場合には、譲渡価額の5% 相当額を取得費とすることができます。

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことで、主に次のようなものをいいます。
(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料など
(2)印紙税で売主が負担したもの
(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額

<アドバイス!>
取得費の額を譲渡金額の5% 相当額とされては、税金計算上不利になる場合も多くありますので、売買契約書等は必ず保管しましょう。
また、売買契約書等を紛失等した場合でも、購入当時の領収証やメモでも取得費を立証する資料になりますので保管するようにしましょう。