2019/02/26

不動産管理会社の活用による節税

不動産所得が高額となる場合には、不動産管理会社を活用し所得税の節税を図る手法があります。また、相続税の節税の観点からも相続財産圧縮の手法として用いられます。

不動産管理会社の活用は一般的に次の 3 つの方法に分類されます。

(1)管理徴収方式

① 不動産の所有者は個人オーナーのままで、管理会社がその不動産の管理を行います。
② 不動産管理会社は管理業務の対価として、オーナーから管理料を受取ることになります。

<ポイント!>
簡単に導入できるのですが、委託業務の内容からすると、あまり大きな金額の管理料を設定することはできないでしょう。

不動産管理会社の節税効果 ⇒
個人オーナーは、不動産管理会社に支払う管理料を経費として所得税の節税を図る

(2)転借方式(サブリース方式)

① 個人オーナーが所有物件を不動産管理会社に一括で貸し付けます。
② 不動産管理会社は個人オーナーに借上げ家賃を支払い、借上げた物件について入居者を募集し、「家賃収入」を得ます。

<ポイント!>
管理会社が空室等の経営上のリスクを負うことになりますので、管理徴収方式の場合より支払う管理料を多くする(経費を多くして節税を図る)ことも合理性があり適正な行為であると考えられます。

不動産管理会社の節税効果 ⇒
個人オーナーは、不動産管理会社から支払われる家賃が不動産収入となるが、法人の役務提供、リスク負担分等、法人の適正利益等を勘案し、個人で賃貸をしていた時より収入を減少させる家賃設定が可能であり所得を圧縮し節税可能となる

(3)不動産所有方式

① 不動産管理会社が物件を取得し、管理運営(不動産賃貸事業)を行います。
② 家賃収入は全て不動産管理会社の収入とされ個人オーナーは敷地の地代を受取ります。

<ポイント!>
家賃収入が全て法人の収入になるので所得の分散効果はこの不動産所有方式が最も大きいといえます。しかし資産の移転に伴い不動産取得税や登録免許税の負担、譲渡対価の資金繰りなどかなりの困難も伴います。
また敷地の借地権設定の問題などについても⼗分な検討と注意が必要です。

不動産管理会社の節税効果 ⇒
不動産管理会社が物件を所有し賃貸を行うので、個人は家賃収入が発生せず地代収入にかかる納税と申告のみが必要となります

不動産管理会社の活用による節税まとめ

(1)不動産管理会社は、個人オーナー以外の者を役員及び従業員とし役職及び業務に⾒合った役員報酬や従業員給与を支払うことにより所得分散を行う。
(2)個人オーナーの不動産所得が不動産管理会社を通じて給与として分散され、それぞれが給与所得控除を受けられ、また低率の所得税率で所得税が計算され節税効果が生じる。
(3)個人オーナーの相続財産となるべき不動産所得が不動産管理会社を通じて、贈与税の課税なしに給与として分配され、生前に相続人に財産分与したのと同様の効果を生み出す。

<注意点!>
不動産管理会社の設立が単なる租税回避行為として税務当局から指摘される事も想定されます。この判断は、管理会社としての実態をそなえているかどうかです。契約書の整備、人の雇用に伴う給与の支払、源泉徴収など会社として実態があり運営されているという客観的な証拠書類を備える事が肝⼼です。