2019/02/06

土地建物を一括購入、取得価額の按分方法で節税

土地付き建物を購入した場合に土地と建物の取得価額がそれぞれ明記されておらず総額のみ記載されている売買契約書を目にすることがよくあります。

そのような場合も、以下の理由により土地と建物の取得価額を区分しておく必要があります。

(1)購入に係る消費税の仕入税額控除の基礎となる建物の取得価額算定
(2)減価償却の基礎となる建物の取得価額算定
(3)将来土地を売却する場合に譲渡費用として控除できる土地の取得価額の金額算定

取得価額の按分方法

(1)契約書に土地建物の内訳金額の記載はないが消費税額の記載がある場合

消費税の金額を基に建物の金額を求めて残りを土地の金額とする。

(2)消費税の記載もない場合 有利な選択をしましょう!

時価の比により購入価額を按分してそれぞれの取得価額を求める。
この場合において時価として計算に用いる数値は下記によることができます。
① 相続税評価額
② 固定資産税評価額
③ 不動産鑑定⼠による鑑定評価額

(3)内訳記載もなく、時価も明確でない場合 有利な選択をしましょう!

① 建物の価額から先に算出して残額を土地価額とする。
【例】国税庁のホームページに掲載されている建物の標準的な建築価額表を目安にして建物の取得価額を算定し、残額を土地とする。
② 土地の価額から先に算出して残額を建物価額とする。
【例】土地の公⽰価格や路線価額を基に土地の取得価額を算定し、残額を建物とする。

<ポイント!>
土地と建物の取得価額が明確でない場合、建物の取得価額を出来る限り多く計上できる按分方法を採用することにより節税になります。前述のいろいろな方法により計算を行い、一番有利な金額を導き出せる方法をみつけて節税につなげましょう。
建物価額が大きくなれば、減価償却費の増大だけでなく、消費税の課税事業者であれば仕入税額控除が大きくなり消費税も節税となります。
税法においては、「合理的な方法により」とか「合理的な数値により」という言葉使いがされていことが多くあります。
これは、「勝手に自分で有利な数値を決めるのではなく出来る限り客観性のある計算方法や指標となる数値を使って計算をして下さい。」ということでありますが、その範囲であれば納税者有利な計算をすることを容認しているとも解釈できます。