2019/02/01

供託された家賃の収入計上時期

建物賃貸借契約において貸し手側と借り手側の主張が異なった場合に、大家(貸し手側)が店⼦(借り手側)から支払われた家賃の受取りを拒否したため、店⼦が家賃を法務局に供託することがあります。

主張相違による供託

・大家(賃貸人)は、自分の主張を貫くため家賃の受取を拒否します。
・店⼦(賃借人)は、自分が家賃を支払う意志があることを主張するため家賃を供託します。

それでは、双方の主張の相違により供託された家賃についての収入計上時期はいつにすべきか、供託されることとなった争いの内容によって次のように区別されています。

<ポイント!>
(1)家賃の金額の変更により係争となった場合
家賃の金額に関する係争の場合には、賃貸人は家賃を受け取る意思はあるが金額が両者の合意に達していないことによる紛争なので、賃貸人が請求している金額の範囲内で賃借人が供託した部分の金額については収入確定となります。この金額は家賃の支払日の属する年の収入金額として申告と納税を行う必要があります。

(2)賃貸借契約の解除をめぐり係争となった場合
借家人の義務違反により賃貸借契約そのものの存在が争われているような場合には、賃貸人が係争中に供託された家賃を賃貸料収入として申告する必要はありません。

(1)の確定分以外は、その係争が判決や和解等によって解決し、収入として受け入れることが確定した場合には、その確定時点で収入として計上することとされています。

<注意点!>
例えば、この契約解除紛争解決の場合において数年分の家賃収入を一括で受領した場合、その係争期間中に必要経費としなかった係争案件に係る経費をまとめて計上することが認められています。つまり、供託家賃収入が3 年分であれば必要経費も3 年分控除できるというわけです。