2019/01/29

駐車場経営の所得の帰属

不動産の貸付に係る収入は誰に帰属し、そして誰が申告納税の義務を負うのか、一番基本の部分をここで確認してみたいと思います。

例えば、自分の土地を子供が貸駐車場として活用した場合に、その収益を誰のものとして認識すべきかを考えてみてください。この場合、短絡的に子供の収入として考えることを是としてしまうと下記のような税金計算上の弊害を生じることになります。

<注意点!>
親から無償で賃借した土地を子供が第三者に転貸することにより
(1)不動産収入を子供に贈与したのと同様となり贈与税の課税漏れが生じる。
(2)本来相続財産を形成する親の不動産収入が蓄財されず相続税の課税漏れが生じる。

実質判定

収益の実質的な帰属者(収入を得るべき者)が誰とすべきかの判定は、その収益が資産から生ずる収益 か 事業から生ずる収益かによって次のように取り扱われています。

資産から生ずる収益の帰属者

資産から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、その収益の起因となる資産の真実の権利者が誰であるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものとして取り扱う。

事業から生ずる収益の帰属者

事業から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、その事業を経営していると認められる者(事業主)が誰であるかにより判定する。

<ポイント!>
したがって、不動産賃貸の収入の帰属者を判定するのには、不動産賃貸が事業として⾏われているのかどうかを⾒極めたうえで判断することになります。

駐車場経営の場合、事業所得か不動産所得かの判定基準は次によります。
事業所得・・・管理人などを置き、自己の責任において他人の物を保管する、いわゆる有料駐車場、有料駐輪場等の所得(事業規模に至らない場合は雑所得)。
不動産所得・・・事業所得になる場合以外の駐車場等の所得。

【例】家族がアスファルトを敷いて駐車場を経営した場合

不動産所得となる場合

管理人などを置かない月極駐車場であれば、その所得は不動産所得となり土地の所有者が所得の帰属者となります。

このような場合、形式的には家族が駐車場利用者から駐車料を収受しているようにみえますが、税務上は土地の所有者である本人が駐車料を収受し、それを家族に分配しているにすぎないものと解釈されます。

「資産から生ずる収益の帰属者」を判定する場合の収益の起因となる資産とは、アスファルト部分ではなく土地であると判断されているわけです。

アスファルトを敷いただけの家族が、駐車場収入を自⼰の所得としていると贈与扱いにされる可能性がありますからご注意ください。

事業所得となる場合

管理人などを置く有料駐車場であれば事業所得となるので、事業主に所得が帰属することになります。

アスファルトを敷いただけの駐車場であっても、そのアスファルトを敷いた家族がこの駐車場の経営管理を⾏い、管理人の雇用を掌っていればこの駐車場事業の経営者である家族の所得となります。