2019/01/09

不動産所得は青色申告で節税

確定申告にあたっては、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を⾏う者は所轄の税務署⻑に承認申請書を提出することにより青色申告による確定申告書を提出することができるとされています。
青色申告は、税務署が推し進めている確定申告の方法であるため、これによる確定申告については、様々な税務上の特典を設けています。
青色申告の特典を利用して節税を図りましょう!

青色申告承認申請書の提出

新たに事業開始、貸付開始の場合

青色申告の承認を受けようとする者は、青色申告による申告をしようとする年の3 月15 日までに青色申告承認申請書を所轄の税務署⻑に提出しなければなりません。
(その年の1 月16 日以後、新たに事業を開始したり、不動産の貸付をした場合には、その事業開始等の日から2 月以内

相続により承継した場合

青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した者が青色申告の承認を受けようとする場合には、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内に青色申告承認申請書を所轄の税務署⻑に提出しなければなりません。

① 死亡の日がその年の01 月01 日~08 月31 日の場合 … 死亡の日から4 ケ月以内
② 死亡の日がその年の09 月01 日~10 月31 日の場合 … その年の12 月31 日まで
③ 死亡の日がその年の11 月01 日~12 月31 日の場合 … その年の翌年の2 月15 日まで

なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌営業日が期限となります。

青色申告による特典

個人事業主が青色申告の適用を受けるためには、会計帳簿に取引の記録をし、かつ領収書などの資料の保管をしなければなりません。
特典には下記のようなものがあります。

家事関連費の経費算入

自宅の一部を事務所などとして使っている場合でも、家賃や光熱費は必要経費にはなりませんが、青色申告の選択により合理的な割合により必要経費に算入することを認めています。

青色事業専従者給与の必要経費算入

家族に事業を⼿伝ってもらった場合の家族への給与の支払いは必要経費にはなりません。しかし、不動産経営が事業規模であって、その家族が事業に専従していれば、青色事業専従者給与に関する届出書に記載された金額の範囲で必要経費になります。

青色事業専従者となった者は、配偶者控除及び配偶者特別控除や扶養控除の対象にはならないので注意してください。

青色申告特別控除

確定申告書に貸借対照表と損益計算書の両方を添付することにより、必要経費とは別に不動産所得 、 事業所得の順番で青色申告特別控除額65 万円を控除できます。

<注意点!>
① 事業所得がなく不動産所得のみの場合は、65 万円控除をうけるには事業規模の不動産経営であることが必要です。
② 不動産所得の金額と事業所得の金額の合計額が65 万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして損益通算前の⿊字の所得金額をもって合計額とできます。
③ 現金主義を選択している人は、65 万円の青色申告特別控除を受けることはできません。

純損失の繰越控除

青色申告をしている年の不動産所得、事業所得、山林所得などで大きな損失が発生し総合課税となる他の所得と通算しきれない場合、この損失は翌年以後 3 年間にわたって控除をすることができます。

純損失の繰戻還付

青色申告を提出する者が前年も青色申告をしている場合には、純損失の繰越控除に代えて、当年の損失額を直前年の所得から差引き、所得を減額することによって直前年の所得税の還付を受けることができます。

少額減価償却資産

中小企業者※が 10 万円以上でかつ 30 万円未満の減価償却資産(備品等)を購入した場合には、その全額を使用開始年の必要経費にできます。ただし対象となる資産は、取得価額が年度累計で 300 万円に達するまでが限度となります。
※中小企業者とは、資本金(資本積⽴金を含む)の額が 1 億円以下等の法人や常時使用する従業員数が 1,000人以下の個人事業者などです。

特別償却

「情報基盤強化設備」などの設備を購入したときは、通常の減価償却費に加えて特別償却費を経費にできます。
中小企業者が機械等を取得した場合なども、一定の要件に該当すれば同様に特別償却費を追加計上できます。
上記特別償却に代えて税額控除という所得税そのものを減額する制度も認められています。

不動産が災害にあって滅失した場合

事業的規模の場合

災害による損失は、必要経費に算入されます。
損失額は、固定資産の簿価の減少額から保険金により補填される金額を除いた金額となります。損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない金額は、翌年以降 3 年間繰り越して各年の所得から控除できます。青色、白色を問いません。白色の場合は、被災事業用資産の損失の繰越制度を利用することになります(所法 70)。

事業的規模ではない場合

事業的規模ではない場合に生じた災害損失については、「不動産所得」の必要経費に算入するか、または、所得税法に定める「雑損控除」の対象とするかのいずれか有利な方を選択することができます。
「雑損控除」を選択して、当年控除しきれない場合は、「雑損失」として翌年以降3 年間の繰越が可能です。必要経費とする場合、不動産所得の金額が限度となります。