2019/01/06

不動産所得の確定申告

個人の不動産の貸付による収入は不動産所得として確定申告が必要です。

不動産所得の金額

不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除して計算します。青色申告者は、さらに青色申告特別控除額を控除することになります。

【算式】 不動産所得の金額 = 総収入金額※ 1 - 必要経費※ 2 - 青色申告特別控除額

※ 1 総収入金額
不動産の総収入金額には、不動産の賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。
・名義書換料、承諾料、更新料、礼金などの名⽬で受領するもの
・敷金、保証金等のうち、返還を要しない部分の金額
・共益費などの名⽬で受取る電気代、水道代、掃除代ほか

※ 2 必要経費
(1)税金の支払い
① 賃貸不動産にかかる固定資産税及び都市計画税、不動産取得税、登録免許税
② 不動産賃貸収入にかかる事業税
③ 不動産貸付に係る契約書につき納付する印紙税
④ 不動産貸付事業の用に供されている車両にかかる自動車税他

(2)損害保険料
① 賃貸建物等のため掛けた⽕災保険などの保険料
② 事業用車両の自動車損害賠償責任保険(自賠責)、任意保険料等

(3)修繕費
① 建物や建物附属設備などの破損のため以前の状態に復旧するための修繕費
② 通常の維持管理のために支出した修繕費
③ 賃借人が使用し破損した内装・設備などを元の状態に戻す原状回復費用
※原状回復費用について
固定資産の修繕費については、通常の維持管理・原状回復のためのものは必要経費に算入することができます。しかし、その支出によりその資産の価値が増加したり、使用可能期間が延⻑したりするような場合には、支出した年に全額を必要経費にすることはできません。その修繕を施した資産本体の耐用年数にしたがって減価償却費として必要経費に算入することになります。

(4)借入金の利子
① 不動産の建築や購入のために借入れた借入金利息

<注意点!>
① 賃貸住宅の取得のための借入金利子のうち、その賃貸住宅を業務開始するまでの期間に対応する利子については必要経費とならず、その固定資産の取得価格に算入しなければなりません。
不動産所得で赤字が生じた場合に、土地取得に係る支払利子に相当する部分は、損益通算の対象になりません。

(5)減価償却費
賃貸建物などを建築などした場合には、減価償却という方法で、税法で定める法定耐用年数に応じて取得価額を費用化していくことになります。
建物の償却方法は、定額法に限定されており法定耐用年数は構造と使用区分により(極端に簡易なものを除く)おおむね 20 年から 50 年程度に定められています。
空き室の状況でも、入居募集をしており、通常の管理がされているのであれば減価償却費を経費に算入することができます。募集の証拠を残しておくことなども必要ですね。

<ポイント!>
建物の取得価額には建物本体のほか給排水設備、電気配線設備などの建物附属設備とされるものや外溝⼯事など構築物とされるものも含まれています。
これらは、建物と区分してそれぞれ建物本体より短い 10 年から 17 年ほどの法定耐用年数で償却費を計算することが可能です。しかも、それらは定率法という償却方法の選定の届出をすることにより早期に償却することが可能です。
建物本体と建物附属設備又は構築物の取得価額の区分を⾏うことにより減価償却費がなるべく早い時期に経費として計上されるという節税のセオリーに適うことになります。