2018/12/01

FX(外貨為替証拠金取引)の申告

FX で儲けたんだけど、申告ってやっぱり必要?

つい「申告しなくてもいけるかも?」と思いがちですが、実際はどうなのでしょう?
取引をしている人間が多いため、つい「ちょっとくらい儲けてもわからないんじゃないか?」と考えてしまいがちです。「無申告でも大丈夫だったよ」という話も実際にあるようですが、
それはただ単に『今はバレていないだけ』です。

税務署もただ手をこまねいているわけではなく、キッチリ全ての FX 業者を把握しているようです。その気になって調べられたら、必ず判明してしまうでしょう。

実際にFX で利益が出た際の取り扱いは、下記の点に注意してください。
(1)給与収入が2,000 万円以下のサラリーマンの方であれば、利益が20 万円を超えれば確定申告をする必要があります。
( 2)FX 取引による儲けは「雑所得」として扱われます。
( 3)含み益(未確定損益)については考えず、実現損益のみが課税対象となります。
( 4)スワップポイント(スワップ金利)も課税対象になります。

適正な節税対策をして少しでも納める税金を減らしましょう!

儲かってから税金のことを考える人が多いと思いますが、儲かってから税金対策をしても遅いのです!しっかり事前に節税対策をして、せっかくの儲けを少しでも多く残せるように普段から税金のことを考えておきましょう。
※ここでご紹介する節税策は FX 取引に特化したものが含まれています。そのため、汎用性は高くないかもしれません。考え方がは、他に通ずる部分はあるかと思いますので、興味がない方もご参考にお読みいただければ幸いです。

<ポイント!>
・必要経費を少しでも多く申告する
・いっそのこと事業として申告する
・『くりっく 365』や『大証 FX』を使う

では、1 つずつ見ていきましょう。

必要経費を少しでも多く申告する

例えば、FX での利益を出すために 5 万円の投資セミナーに行った場合、これは当然必要経費になります。また、このセミナーが遠方であったため新幹線代に 1 万円かかった場合、これまた経費として計上できます。この他にも書籍やパソコン、インターネット回線、携帯電話によるパケット代などが経費として考えられます。

しかし、インターネット回線などは、FX のためにどれくらい使っているかの割合分しか経費になりませんが、FX 専用のパソコンとインターネット回線があるなら、それは全額経費として認められます。FX 専用の携帯電話が有る場合は、その基本使用料やパケット代も同様ですね。

このようにして、必要経費をなるべく多く申告するのが節税の一つの方法です。

いっそのこと事業として申告する

そもそも副業的な位置づけの FX ですが、税務署に対しては『事業』として届け出ることで大きな節税になります。

そのままでは『雑所得』として扱われますが、『事業』扱いにすると『事業所得』へと変わります。

『事業』扱いにした際の最大のメリットは、『青色申告』ができるという点にあります。
青色申告とは、一定の正確な帳簿作成を行っている納税者には、所得計算などにおいて様々な特典を与えましょう、というものです。

この特典には色々なものがありますが、最大級のものはなんといっても『青色申告特別控除』と『純損失の繰越控除』でしょう。

青色申告特別控除』とは『所得計算上、65 万円を特別控除できる』というものです。大雑把に⾔うと、“65 万円の経費を領収書なしで計上できる ” というようなものです。節税上、これはとても大きいなメリットです。

『純損失の繰越控除』とは『赤字を 3 年間に渡って繰越できる』というものです。今年の赤字が 100 万円だったとするならば、来年の黒字が 100 万円だった場合はプラスマイナスゼロで申告できます。これも大きいですよね。

『くりっく365』を使う

『くりっく365』とは、東京金融先物取引所に上場している「取引所為替証拠金取引」の呼称です。
結論からいいますと、事業扱いとするようなことをせず、単純に利益を雑所得として申告するような場合は、給与所得が330 万円(給与額面480 万円)を超える人は『くりっく365』を使った方が、通常のFX 業者を使うより税務上有利になります!

簡単に図解しますと下記のようになります。

fxの申告くりっく365

『くりっく 365』で発生した利益は、他の所得と分離して課税(申告分離課税といいます)され、税率も一律 20% となるため、どんなに利益が出ても税率は 20% と変わりません。

通常、FX 業者で発生した利益は FX 以外の所得(サラリーマンなら給与所得、自営業者なら事業所得)と合算されて課税され、総所得が増えれば増えるほど税率も高くなっていきます。
そのため、給与所得が 330 万円(給与額面 480 万円)以上あるサラリーマンなどは『くりっく 365』を利用したほうが税率を低く抑えることができるということになります。
逆に、専業主婦や学生などで FX で出そうな利益が 200 万円もいかないのであれば、通常のFX 業者を選んだほうが有利になる可能性が高いです。

なお『くりっく 365』の課税は原則完結しているので、サラリーマンが他に所得がないような場合は、申告する必要はありませんが、商品先物の利益と通算する場合や、損失が出てしまって損失を繰越したい場合は確定申告をしなければなりません。損失の繰越は損失発生年度の期限内申告と以降の連年申告が必要です。
※通算や損失繰越に必要な書類(くりっく365 の場合)
① 申告書第三表(分離課税用)
② 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
③ 申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)