2018/11/30

一時所得と雑所得

『一時所得』と『雑所得』似ていますが、税金の計算は全く違いますので注意してください!

一時所得となるもの

一時所得となるもの (営利⽬的、継続性、対価性がないようなもの)

① 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます)、競馬や競輪の払戻金
② 生命保険や損害保険の一時金や満期返戻金
③ 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます)
④ 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
⑤エコカー補助金も一時所得になります。(事業者の事業車両分は、事業所得となります。)
また、一般個人、事業者ともに『国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書』を確定申告書に添付すれば収入とははなりません(所法42 -①)。ただし、事業者は、補助金金額を車両の取得価額から差し引く処理をしなければなりません(課税の繰り延べ)。

一時所得の計算

収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額※ = 一時所得の金額(A)
上記(A)の1/2 の金額を他の所得と合算して税金の計算をします。
(※最高50 万円)

収益合計が50 万円までなら特別控除により所得はゼロになり申告は不要になることや、その所得の1/2 にのみ課税される点が、他の所得と⽐べてかなり有利になります。

以前に会社役員が成功報酬的に受け取る自社のストックオプションが一時所得にあたるか、給与的な性格なので給与所得にあたるかという争いがありました。税務署は最初「一時所得」として指導しておきながら、突如「給与所得」であると見解を変え、過去にさかのぼって更正をするというような暴挙にでたのです。長らくあちらこちらで争われましたが、最後は最高裁で「給与所得」であるとのスッキリしない判決がなされ決着しました。

小規模企業共済の解約一時金に注意!

小規模企業共済は、毎年の確定申告で掛金が所得控除されていますから、一定の要件に該当しない場合、解約金収入がそのまま全部一時所得になります。

一般的な生命保険の一時金などと混同しないように注意してください。一般的な生命保険満期等の一時金の場合は 掛金として払い込んだ保険料の総額を控除できますが、小規模企業共済解約金(廃業や解約時年齢等で一定の要件に該当しない場合)は掛金の控除はできません。

ただし、廃業や解約時の年齢等で、一定の要件に該当する場合は、退職所得になりますので税金はかなり安くなります。

[例えば廃業による解約で小規模企業共済加入期間が25 年だった場合]
[ 収入解約金 -{ 70 万円(定額)×(25 年 – 20 年)+ 800 万円 } ]× 1/2 = 退職所得

小規模企業共済の解約には、事業の廃業や解約時の年齢等を⼗分に考慮して解約しないと多額の税金が発生する場合があります。

支給漏れ年金を一括で受給した場合は以下に注意!

社会保険庁の数々の不手際が税金にも影響しています。
過去5 年を超える分に関しては時効となり申告する必要はないのですが、過去5 年以内の受給分に関しては、受給を受けた年度に一度に課税すると税率が上がり、税負担が大きいため、各年度に遡って修正申告をする事とされています。
よって、受給資格があるのに手続を忘れていた人が、過年度分を一括受給した場合も同様に、各年度に遡って修正申告する事となります。

【補足】
また、給与所得以外に所得がない方は、一時所得が20 万円以下なら申告不要です。
よって、エコカー補助金だけなら一般的には申告不要ですね。しかし、たまたま保険の満期金が入ったとかで、一時所得に課税されるような場合は、『国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書』を添付しなければ、エコカー補助金も一時所得に加算して申告しなければなりませんのでご注意ください。

ちなみに、法人がエコカー補助金を受給した場合は、補助金収入として計上します。「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮の損金算入」の制度を選択すれば、固定資産の取得価額を補助金収入金額で圧縮することもできます。別表13 ①添付(法法42)。

雑所得となるもの

雑所得となるもの

雑所得とは、他の9 種類の所得のいずれにも当たらない所得で次のようなものをいい、給与所得などの他の所得と合計して、総所得金額を求めて税金を計算します。

① 年金や恩給などの公的年金等 ( ※遺族年金等は非課税になります )
② 非営業用貸金の利子
③ 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
④ 講演料や放送謝金

また、公的年金等や原稿料・講演料などは、支払の際に源泉徴収が行われます。

雑所得の計算

雑所得の金額は、次の①と②との合計額です。

① 公的年金等以外のもの
公的年金等以外の総収入金額 - 必要経費
② 公的年金等
収入金額 - 公的年金等控除額(受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています)

雑所得でも必要経費が認められるか?

その所得を獲得する為に生じた支出は必要経費になります。
具体的には…
売買手数料・振込手数料・パソコン購入費用の一部・専門誌購入代・関連セミナー参加費用・⽂具等の消耗品代・通信費やプロバイダー代などです。
また、事業ではありませんが、簡単な収支表の作成や請求書・領収書等の書類の保存は必要です。