2018/11/15

株の確定申告

株の確定申告はどうやる?

株式の譲渡所得は申告分離課税とされていることは前述のとおり。上場株式等は住民税合わせて10%、非上場株式は20% の税率でしたね(ただし、平成24 年以降は、上場株式等も20%)。

株の取引口座には、特定口座と一般口座があります。
さらに特定口座には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の口座があります。

証券会社の口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいれば、株を売却する都度、証券会社が口座を通しての税金を計算してくれるので口座内での処理は完結します。

「特定口座(源泉徴収なし)」を選んだ場合や、一般口座で株の譲渡のある人は、株を売却した際に売却益から税金は引かれないため、確定申告によって税金を納めることになります。
複数の口座があり、損失が生じている口座があれば、もちろん確定申告で通算して、利益が出た口座から源泉徴収された税金の還付を受けることも可能です。

特定口座を開設していれば、証券会社から年に一度「年間取引報告書」が送られてきますので、年間収支を自分で計算する必要はありませんが、一般口座の場合は年間収支を自分で計算しなければならないという手間が生じます。

株の赤字は繰り越せます!(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)

2008 年はサブプライムローン問題に端を発した、100 年に 1 度といわれる金融危機により株式市場が大暴落し、かなりの投資家が多大な損失を被ってしまったことでしょう。

原則、株の売買による損失について申告義務はありません。

しかし、確定申告をすることによって、株式投資で出した損失を翌年以降に繰り越すことができます(確定申告しない場合には、その損失はその年度で打ち切りになります)。

翌年以降の3 年以内に利益が出た時、繰り越した損失と相殺し、利益の額を減らすことができるので、株の節税方法のひとつになります。

この特例の適用を受けるためには、次のことが必要となります。

(1)上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき、上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書及び株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の添付がある確定申告書を提出すること。

(2)その後において連続して確定申告書を提出すること(期限内申告は要件ではありません)。
その後は株取引もなく無申告でいて、3 年後に株式の譲渡所得が発生した場合は、忘れずに無申告であった期間の譲渡損失繰越の申告書も、同時に提出しなければなりませんから注意が必要です。連年申告を失念して、嘆願しても損失繰越が認められなかった事例があるようです。

(3)この繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書及び株式等に係る譲渡所得等の金額がある場合にはその計算明細書の添付のある確定申告書を提出すること。

株式等の譲渡が事業所得?

株式等の譲渡は、一般的には株式等の譲渡所得ですが、その内容によって譲渡所得、雑所得、事業所得に分類することとされています。
なお、どの所得であっても申告分離課税で他の所得とは分離して申告することには変わりありません。

しかし、事業規模で株式等の譲渡を行う場合は事業所得であり、業として行っているものの事業規模ではないと判断されるものは雑所得となります。なお、事業規模の判定ははっきりと明記されたものはないようです。

雑所得、事業所得となると、業務に関して発生した費用を経費にできることになります。また事業所得であれば、青色申告で申告できることになりますね。実際には、個人でそのような申告をされているケースはあまりないと思いますが…。