2018/11/08

不動産所得

不動産所得とは

マンションやビル・土地・貸ガレージ、広告看板などを貸して、受けた家賃や地代などの収入から、固定資産税や修繕費などのかかった経費を引いた後の金額をいいます。時間貸駐車場(いわゆるコインパーキング)は事業所得又は雑所得、寄宿舎の運営は事業所得になります。

不動産所得 = 不動産収入金額 - 必要経費

不動産収入金額

不動産所得の収入金額になるものとしては、家賃・地代・権利金・礼金・更新料などがあります。
※敷金や保証金は、将来返却するお金となるため、不動産所得として確定申告する必要はありません。
ただし、敷金や保証金でも返却しないことが確定した場合には、その年の不動産所得として申告しなければいけません。

=収入の計上時期=
① 地代・家賃、共益費等
その支払方法についての契約内容により原則として次のようになります。
ⅰ . 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた日
ⅱ . 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日

② 上記以外のもの
家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上します。
このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの名⽬で受け取るものについても同様です。また、敷金や保証金は本来は預り金ですから、受取っても収入にはなりませんが、返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日にその金額を収入に計上する必要があります。 (所法36、所基通36-5 ~7)

必要経費

必要経費とは、不動産所得を得るために支出したお金をいいます。
例えば、不動産にかけている⽕災保険料や固定資産税、建物の修繕費、減価償却費などをいいます。

① 修繕費のうち、資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価値を増加させたりする部分の支出は支出年度に全額を必要経費とできず、減価償却費として数年にわたって経費としていくこととなります。
② 地代や家賃を滞納された挙句、取立不能となった場合には、その未収入金は貸倒として必要経費に算入できます。
③ 賃貸する建物等を取得するために、金融機関等から借入した借入金の利子は必要経費になりますが、元本の返済に相当する部分は当然必要経費になりません。また、不動産所得で⾚字が生じた場合で、その支払利子のうち、土地や借地権の取得に係る部分の金額は、損益通算の対象になりません。

節税のポイント

かかった経費は、全て詳細に記録に残し、領収書はきっちり保管!

経費として認められるものは必ず領収証をもらい、こまめに経費算入しましょう。
常日頃、このことに気をつけているだけで節税効果が期待できます。

修繕はこまめに行いましょう!

大掛かりな修繕をまとめてしてしまうと、修繕費として一度に経費で落とすことができずに、資産計上して長期間で償却しなければならない場合があります。

その修繕が、「 おおむね 3 年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、又は一つの修理、改良などの金額が、20 万円未満のとき 」 である場合は修繕費にすることができます。

また、資本的支出か修繕費か不明の金額がある場合、一つの修理、改良などの金額が 60 万円未満であるか、その資産の前年末の取得価額のおおむね 10% 相当額以下であれば、修繕費とすることができるので、まとめて大掛かりな修繕をするよりも、こまめに修繕をしていくようにしましょう。

減価償却資産はできるだけ細分化しましょう!

不動産を新築した場合などは、その掛かった建築費用を全額、建物として資産計上し減価償却するよりも、建物と附属設備や消耗品といった科⽬に細分化して減価償却した方が、耐用年数が短くなることにより早い年数で経費にすることができるため有利になります。

また、「 減価償却資産の償却方法の変更承認申請書 」 をあらかじめ税務署に提出することにより、定率法といった資産を早期に償却できる方法を選択することが可能になり、早い年度で経費にすることができるため有利になります。
※ H10.04.01 以後取得の建物は定額法(旧定額法含)のみとなります。

青色申告をしましょう!

不動産所得については、青色申告特別控除の適用を受けることができま
す。その控除額は不動産の貸付けの規模で判断します。
① 事業的規模である場合には65 万円
② 事業的規模でない場合には10 万円

事業的規模とは

その不動産の貸付業が社会通念上、事業という程度の規模で行なわれているかどうかにより判定されます。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとしています。

(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した客室がおおむね10 室以上であること。
(2)独立家屋の貸付については、おおむね5 棟以上であること。
(土地の貸付の場合はおおむね10 件を1 棟に換算して事業的な規模かを判定します。)