2018/11/03

山林所得

山林所得とは

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、あるいは、立⽊のまま譲渡することにより生じた所得です。
ただし、山林を取得してから5 年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく事業所得又は雑所得となります。なお、山林を山ごと丸々譲渡する場合には、山林の部分は山林所得となり、土地の部分については譲渡所得となります。

山林所得も前項の退職所得と同様、申告分離課税とされています。植林から伐採まで長期間を要するものであり、他の所得とは分離して、税務上やはり優遇された制度になっています。

山林所得の計算

山林所得は次の算式で計算します。

山林所得の金額 =( 収入金額) ―( 必要経費)※1 ―( 特別控除額)※2

※ 1 必要経費は、
① 植林費、取得費、育成費、管理費、伐採費、譲渡に要した費用などです。
② 災害、横領、盗難などによって生じた損失の金額は、その年分の必要経費に算入できます。
③ 昭和 27 年 12 月 31 日以前から所有していた山林を伐採又は譲渡したときは、昭和 28 年 1月1 日現在の相続税の評価額とその日以降に支出した管理費、伐採費その他の経費の合計額を必要経費とすることができます。
④ 伐採又は譲渡した年の 15 年前の 12 月 31 日以前から引き続き所有していた山林については次の算式で算出した金額によることが出来ます。

{収入金額―(伐採費+譲渡経費)}×(概算経費率)+(伐採費+譲渡経費)

概算経費率は、租税特別措置法施行規則でその割合が45% と決められています。なお、概算経費控除の方法を選択して山林所得を計算した場合には、確定申告書に「措置法30」と記載することになっています。
※ 2 特別控除額は、50 万円(収入金額― 必要経費が50 万円未満のときはその金額)

5 分5 乗方式

山林所得は、他の所得と合計せず、次のような5 分5 乗方式という、他の所得とは異なった計算方法により税額を計算します。

[ 課税山林所得金額 × 1/5 × 税率 ] × 5

所得を 5 分の 1 に分割することで、対応する所得税率が下がります。山林所得を得るには、長期の育成、管理期間を要し、大きなリスクも伴うという事業の特殊性により、かなり優遇された課税方式が採用されているのです。
なお、平成19 年度より住民税では5 分5 乗方式は廃⽌されています。

山林所得の損益通算

山林所得の⾚字は他の所得の⿊字から差し引くことができます。
また、総合所得が損益通算後も⾚字の場合は、山林所得と通算できます。

山林所得の課税の軽減

山林所得の課税が軽減される特例には次のようなものがあります。
(1)森林計画特別控除の特例
(2)収用などにより山林を譲渡した場合の特例
(3)山林の譲渡代金が貸倒れた場合の特例
(4)保証債務を履行するため山林を譲渡した場合の特例