2018/10/28

退職所得

退職所得

退職所得とは、退職に際し勤務先から受ける一時恩給や退職金などの所得です。
また、社会保険制度に基づいて支給を受ける退職一時金などは退職した勤務先から支給を受けるものではないですが、過去の勤務に基づいて一時的に支給される点では一般の退職金と同じですので退職所得として取り扱われます。小規模共済などの退職、廃業時に支給される一時金なども退職所得に該当します(解約の状況によっては一時所得)。

他の所得とは分離して課税される申告分離課税とされています。長年にわたっての勤務に対して支給されるものであり、税務上もかなり優遇された制度になっています。

退職所得の計算

退職所得金額 =( 収入金額―退職所得控除額※1) × 1/2

※ 1 退職所得控除は勤続年数(1 年未満の端数は1 年に切上げ)に応じて次のようになっています。
(1)勤続年数が20 年以下の場合
40 万円 × 勤続年数(ただし、算出額が80 万円を下回る場合には80 万円とします)
(2)勤続年数が20 年を超える場合
70 万円 × 勤続年数 – 600 万円

なお、退職者が在職中に障害者となったことに直接起因して退職した場合には、更に100 万円を加算した金額が退職所得控除額となります。

<注意点!>
前年以前に退職所得を受け取ったことがあるとき、又は同一年中に2 ヶ所以上から退職金を受け取るときなどは、控除額の計算が異なることがあります。

退職所得のある人で確定申告をすれば税金が戻る可能性のある人は?

(1)退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった人

退職金については、退職手当等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人の場合は、退職手当等の支払者が所得税を計算し、その退職手当等の支払の際、所得税の源泉徴収が行われるため、原則として確定申告は必要ありません。
ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人の場合には、支払金額の20% が源泉徴収されている可能性があります。

その場合には、退職金を受け取った受給者本人が確定申告を行うことにより税額を精算し還付金を受け取ることができます。

(2)退職年の所得が少ないので所得控除が引ききれない人

退職年の所得が少ない場合や所得控除(国民年金保険料や国民健康保険料の社会保険控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除など)の合計額が多い場合には、所得控除を給与所得等から全額控除しきれないことがあります。

その場合、退職所得を確定申告すると差し引くことができなかった所得控除を退職所得から引くことができ、その結果、退職所得の源泉徴収税の還付を受けることができます。

(3) 退職所得以外に損益通算可能な⾚字所得がある人

損益通算可能とされている⾚字は、経常所得との損益通算後になお⾚字が残る場合、退職所得とも通算することが可能です。
脱サラしたとか、退職後にビジネスを始めた方などは初年度⾚字である場合、退職所得を申告すれば還付がうけられます。

<注意点!>
(1)住民税は特別徴収で完結しますので還付は不可です。
(2)確定申告しても退職所得は国保の計算対象外となります。

<⾖知識!死亡退職金の場合はどうなるの?>
あまり縁起のいい話ではありませんが、死亡退職金については死亡後3 年以内に確定したものについては、所得税の課税対象とはならず相続税の課税対象となります。
なお、死亡後3 年を経過した後に支給が確定したものについては、受給した人の一時所得に該当します。