2018/09/30

事業所得

事業所得とは

事業所得とは、卸・小売業、飲食業、製造業、建築業、運輸業、サービス業等といった営業を行っている人や、医師・弁護⼠のような自由業を行っている人、または農業、漁業を行っている人のその営業などから生じた所得をいいます。
このほか、農事組合法人や漁業生産組合から支払を受ける従事分量分配金、協同組合等から支払を受ける事業分量配当は事業所得として取り扱われます。

事業所得の計算

事業所得 =「総収入金額 - 必要経費」

なお、次のような費用は必要経費になりません。
(1)家事用の費用(衣食住費、養育費などの生活費)
(2)家事関連費のうち、家事分の費用(例として、店舗兼住宅などの地代、家賃、⽔道光熱費、固定資産税、不動産取得税、火災保険料などのうち住宅部分に相当する金額)
(3)所得税、住民税
(4)罰金、科料、過料、国税の延滞税や加算税、地方税の延滞金や加算金
(5)供与する賄賂等の額
(6)資産の値下がりなどによる評価損
(7)生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給料や賃金(青色事業専従者に支払う給与を除く)、家賃、利子等

<注意点! 『同一生計』について>
生計を一にするとは、必ずしも同居を条件にしているわけではありません。別居でも生活費などを仕送りしているような場合は「生計を一にしている」ことになります。
また、同一の家屋に居住している場合には、 「明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする」とあります。
そこで同一生計でないと言いたい場合は、明らかに独立しているといえるかどうかが問題になります。以下の点に注意が必要です。
(1)自由に往来が可能であれば独立性低い
(2)⽞関、台所、⾵呂が共有であれば独立性低い
(3)⽔道光熱費、電話代等が使用量に応じて実費精算されていれば独立性高い
(4)登記は別個でないが地代家賃の支払いがあれば独立性高い
(5)住民票、国民健康保険税が世帯主世帯者の関係であれば独立性低い
(徳島地裁 判決日 平9.2.28 判決番号 平6 第7 ほか)

2 世帯住宅を建てるときなどにはちょっと注意が必要のようです。

事業所得の節税

ここでは、ほんの一部ですが簡単に紹介します。

(1)青色申告者は取得価額 30 万円未満の減価償却資産を使用開始年度に一括して必要経費にできます。確定申告書にその明細書を添付することが条件ですからご注意ください。

(2)保険料や家賃などは、翌年の 1 年分を年末に一括前払すれば全額を支払った年度の必要経費にすることができます。1 年分以上の支払いをすると全額が認められません。また毎年継続して適用していくことが条件です。

(3)白色申告者でも配偶者については最高 86 万円の専従者控除が可能です。配偶者控除は 36万円しかとれませんから、白色でも専従者控除をとりましょう。

(4)年末に未払いである第 4 期分の固定資産税なども未払計上で必要経費に算入出来ます。

(5)自家消費した場合には、通常の売値で計上せずに、売値の 70% か仕入値のいずれか多い方の額を売上計上すればよいこととされています。

(6)家事関連費用なども、合理的な按分基準で経費算入しましょう。

(7)印税や原稿料など、変動の大きい所得がある場合は、その所得が総所得金額の 20% 以上であれば、平均課税という有利な方法で税額計算することが可能です。

(8)減価償却資産の償却は定率法を選択すれば、早期に償却していくことが可能です(建物以外)。

(9)小規模企業共済に加入すれば、年末加入でも年払いで最高 84 万円の所得控除が可能です。

その他、青色申告制度による節税などは次項以降を参照ください。

平均課税について

原稿料(印税)や著作権使用料、作曲料などの年によって変動の大きい所得を変動所得と言います。収入変動が激しい職種の人は、所得税の税率(超過累進税率)を適用すると、所得金額が毎年一定している人に比べて、税負担が重くなることが考えられます。よって、変動所得が一定の条件にあてはまる場合は、平均課税といって、税負担を軽減する制度を選択することができます。

(1)平均課税の対象所得
印税、著作権料などの他に、漁獲や養殖による所得などの変動所得とプロスポーツ選手の契約金や不動産に関わる臨時所得などが平均課税の対象になります。

(2)平均課税の適用条件
・変動所得が、その年の総所得の 20% 以上であること。
・過去 2 年間に変動所得がある場合は、2 年間の変動所得の平均よりも、その年の変動所得が多いこと。

(3)平均課税の計算
平均課税の計算は、変動所得の金額を5 で割り、5 分の1 の金額へ通常の税率をかけて、その金額を5 倍して納税額を計算します。5 で割ったので、低い税率で計算できることとなり、税金を少なく押さえることができるのです。

<豆知識!罰金・科料・過料の違いってな~に?>
罰金と科料は「刑罰」で、過料は「行政罰」といわれています。
罰金と科料の違いは金額の違いであり、10,000 円以上が罰金、1,000 円~10,000 円未満が科料といわれています。
なお、罰金と科料の場合は検察庁の『前科調書』に記載されてしまうようです。
…どれもかかわりたくはないですね。