2018/09/25

確定申告で税金が還付される場合

確定申告をしなければならない者

まず、還付の有無に係わらず、次の(1)から(4)のいずれかに当てはまる方は、所得税の確定申告が必要です。

(1)給与所得がある方のうち次の者

給与所得者は通常、年末調整によって所得税が精算されるため、改めて確定申告をする必要はありません。しかし、次の①に該当し、かつ ② ~ ⑦のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければなりません。

①その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える者。
②給与の収入金額が、2,000 万円を超える者。
③給与を 1 ヶ所から受けていて、給与所得及び退職所得以外の所得合計額が 20 万円を超える者
④給与を 2 ヶ所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が 20 万円を超える者。
⑤同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や地代家賃等の支払を受けている者(所得が 20 万円以下であっても申告する必要があります)。
⑥給与について、災害免除法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた者。
⑦在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税を源泉徴収されないこととなっている者。

(2)公的年金等に係る雑所得のみの方のうち次の者

公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある者。

(3)退職所得がある方のうち次の者

外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある者。

(4)(1)~(3)以外の方のうち次の者

各種の所得金額の合計額から所得控除を差し引いて、所得税額から配当控除を差し引いても残額がある者。

<ワンポイント!>
上記(1)⑤のとおり、同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や地代家賃等の支払を受けている者は、その所得が 20 万円以下であっても申告する必要があります。
ここにいう貸付金の利子や地代家賃等ですが、所得税法施行令262条の2では、その内容が『当該法人の事業に係る貸付金の利子又は不動産、動産、営業権その他の資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合とする』と明確に限定されています。
そうすると、たとえば、役員が会社の債務保証をしている場合に、会社から 20 万円以下の保証料を受けた場合は、資産の担保提供などをしていなければ申告義務は無いと解釈できますね。

確定申告をすれば税金が戻る者

次のいずれかに当てはまる場合などで、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が納め過ぎになっている者は還付を受けるための申告(還付申告)により税金が還付されます。
なお、給与所得者で確定申告の必要がない方が還付申告をする場合は、その他の各種の所得(退職所得を除く)も申告が必要です。

(1)総合課税の配当所得や原稿料などがある者で、年間所得が一定額以下である場合。
※一定額は、所得金額や源泉徴収された税金などにより異なります。
(2)給与所得者で雑損控除、医療費控除、寄附金控除、(特定増改築等)住宅取得等特別控除
(年末調整で控除を受けている場合を除く)、政党等寄附金特別控除、住宅耐震改修特別控除、電子証明書等特別控除などを受けられる場合。
(3)所得が公的年金等に係る雑所得のみの方で、医療費控除や社会保険料控除などを受けられる場合。
(4)年の途中で退職した後就職しなかった方で、給与所得について年末調整を受けていない場合。
(5)退職所得がある方で、退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になる、または退職所得の支払を受けるときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため、20% の税率で源泉徴収がされ、その源泉徴収税額が正規の税額を超えている場合。

確定申告をする場合には、本来申告が必要のない、20 万円以下の所得であってもあわせて申告する必要がありますからご注意ください。

非課税所得(そもそも所得税が課税されません、申告不要)

非課税所得には所得税法の規定によるもの、租税特別措置法の規定によるもの、その他の法令の規定(健康保険法、介護保険法など)によるものがあります。

⾝近なところでは、次のようなものが非課税となり、所得税が課税されません。
(1)納税準備預金の利子
(2)遺族年金、遺族恩給、増加恩給、傷病賜金など
(3)給与所得者が会社から職務上支給されるもので一定のもの
通勤手当(実費等で税法規定内)、出張旅費、出張手当、転勤による転居費用など、制服、作業服、食事代(会社に負担してもらう金額は月額 3,500 円以内、従業員は半額以上負担が必要)、残業食事代、住宅取得のための低利貸付や銀行借入金の利子補給を受けた場合の経済的利益の金額
(4)生活に通常必要な動産の譲渡による所得
家具、衣類など(30 万円を超える宝石、書画、骨董品などは除く)
(5)病気、入院等により保険会社から支払われる保険金
(6) 交通事故等による損害保険金、損害賠償金、慰謝料、⾒舞金など
(7) 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の給付
(8) 生活保護法により支給される保護金品
(9) 障害者自立支援法により支給される金品
(10) 児童福祉法・児童扶養手当法により支給される手当

<ポイント!>
これらは税法上の所得金額には含まれません。このような収入があっても扶養控除の判定では被扶養者となりますので、扶養控除等の判定の際には注意してください!
※健康保険の扶養の判定基準では収入となるもの(遺族年金など)もありますので、ご注意下さい。

宝くじの当選金品は…

くじに記載されている「当せん金には、所得税がかかりません」という記述から、所得税は非課税で、住民税は課税されると思われている方もいらっしゃるようですが、住民税も非課税です。スポーツ振興投票に係る払戻金(サッカー振興くじのtoto)も同様です。

「個人の所得税はかかりません」という事ですから、法人で購入して当選した場合は収入となります。

友人と共同購入などの場合は、当選金を一緒に受け取りに行きましょう。資金移動のみを行うと贈与とみなされる場合があるので注意が必要です。

日本国内から海外の宝くじを購入すること(海外の業者に購入代行してもらうことも含む)は刑法で禁⽌されています。もちろん海外で購入して海外で賞金を受け取るのであればOK です。

しかし、当選金は非課税とならず、日本では一時所得として課税されます。
そもそも国によっては、その国の税金が課されたり、当選金が国外に流れるのを認めない国もあるようです(日本は認めていません)。