2018/08/20

役員への低額譲渡と個人事業の自家消費

低額譲渡とは?

資産を時価よりも低い価格で譲渡(売却)する場合があります。

これは低額譲渡といわれ、時価と譲渡価格との差額の取り扱いが税務上問題となります。

低額譲渡の判定は、通常は譲渡価格が時価の 2 分の 1 以上であるかどうかによります。譲渡価格が時価の 2 分の 1 未満である場合には、時価との差額をみなし譲渡、あるいはみなし贈与として課税の対象とされることになります。譲り受けた者も状況に応じて、給与所得、受贈益、一時所得、みなし贈与などとして課税されます。

なお、自家消費の場合は、所得税法上、仕入値か時価の 70% の大きい方の金額未満での取引が低額譲渡として扱われます。

低額譲渡の消費税法上の扱い

消費税では原則、無償の取引の場合は課税の対象外になります。

しかし、特に同族会社などでは役員への資産の低額譲渡は比較的自由に行えますし、個人事業者の家事使用消費も自由に行えます。

消費税法上は、その役員や個人が消費する資産に対しても仕入税額控除を行っており、会社や事業を通じて個人的なものを購入すると、ある意味で消費税の課税逃れになるともいえます。

そこで、役員取引および個人事業者自家消費のうち、低額譲渡に該当する場合は、時価差額を課税売上加算の対象としています。

また、消費税法上は、棚卸資産の場合、仕入値か時価の 50% のどちらか大きい方の金額を時価とすることができるとされています。